検索窓
今日:11 hit、昨日:25 hit、合計:710,822 hit

79 ページ31

.


.


.







ヒールの音を鳴らし、長い足が綺麗に際立つタイトめなスカート姿の梓さんは此方へと向かう





そして、私の目の前まで来る直前、海青さんは一歩前に立ち梓さんから私を守るような仕草を見せた









「か、海青さん?」


海「どことなく話は聞いてるからね」









小さな声でそう言ってくれて嬉しかったけれど、きっと、梓さんと話す事は必要な事だから…









「…お話させて下さい」


海「…大丈夫?」


「はい。ありがとうございます、海青さん」









此方を振り返った海青さんは、渋々ながらも頷き、先に行ってるね、とエレベーターに乗り込んだ





時間も時間だから来訪者も少なく、いつもは忙しない広いロビーも、何だか静かに感じる





今この場所に居るのは、私と梓さんだけ





そんな錯覚をさせられる程、流れる空気は重かった









「あ、あの…」


梓「そんな足になってまで陸の事守りたかった?」


「…え?」


梓「当たり前よね、大好きな人だもんね」









自分の身体を包み込むようにして、攻撃的にそう言う梓さんは、少しだけ弱って見える









「私はただ、部長や先輩方の頑張りを、
無駄にしたくなかっただけです」









梓さんは、視線を下に落としたまま
此方に視線を送ることはない









梓「貴女の事を閉じ込めたの、私なの」


「…知ってます」


梓「そんな足にしたのも私なのよ?」


「…それは違います」









美しい梓さんの顔は、段々と歪んでいき





目に涙が溜まるのに、そう時間はかからなかった









梓「何で怒らないのよ…。陸の邪魔して、貴女に嫌がらせして怪我までさせたのに…」









瞬きを一つすると、頰に涙が伝っていく









梓「私、本当に最低…」









背筋を伸ばして歩く梓さんは、会社中の憧れの的





そんな彼女がこんな風に弱ってしまったのに、私は大きく関わっているんだ









「私、陸さんの事が好きでした」


梓「…だった?」


「仕事が出来て皆の憧れの陸さんは、私の憧れでもあったんです。近付きたいと、思いました」


梓「…」


「だけど、皆の憧れの陸さんは、同じように会社中から慕われている梓さんの婚約者でした」









誰もが尊敬の眼差しで梓さんを見ていた









「貴女は、そんな立場の人です。
価値があって、敬うべき女性なんです。


だから…梓さんみたいな女性が、私にした事なんて、信じる人は居ません」


.

80→←78



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (822 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2136人がお気に入り
設定タグ:THERAMPAGE , 藤原樹 , 青山陸
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

りい(プロフ) - とても良かったです!!! (2021年10月11日 2時) (レス) @page50 id: 23552ed598 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 美憂さん» 読了、コメントありがとうございます!素敵だと言っていただけるいっちゃんが書けて良かったです(^^) (2021年3月15日 1時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
美憂(プロフ) - 最高な作品でしたー。いっちゃん素敵! (2021年3月13日 22時) (レス) id: 35846edb09 (このIDを非表示/違反報告)
まいぽん(プロフ) - 蘭さん» ありがとうございます!ぜひ読ませていただきます!! (2020年3月10日 23時) (レス) id: 0b1b1da15f (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - まいぽんさん» 返事が遅くなってしまってすみません涙 今度また藤原樹君のお話を書かせて頂いた時には、まいぽんさんをもっと虜に出来る様に頑張りますね(^^) (2020年3月10日 18時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2019年1月7日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。