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「…え？」
こちらを見つめる海青さんの横を流れる景色が、やけにゆったりと感じる
海「本当に、何も言ってなかったんだねあいつ」
言葉が出てこない私を見て、海青さんは笑って、少しだけおどけたような仕草をした
「藤原樹が私の前に現れたのは、この秋の事です」
季節は巡り、いつのまにかマフラーもコートも脱ぎ捨てて、段々と夏に近付いている
半年程前、並木道で話しかけられたあの時。
藤原樹が私の目の前に現れたのは、あの瞬間だった
海「樹が現れたのは、でしょ？」
頭をフル回転させても、全く理解出来ない
海「そんな険しい顔しないで笑
一からちゃんと話してあげるから」
＿＿＿＿＿＿＿＿
海青side
海「…ぐぁ〜疲れたぁー」
椅子の背もたれに背中をつけて目一杯身体を伸ばしていると、口角を若干あげながら歩いてきた樹
海「あと少しで終わんだから手伝ってくれてもいいだろ〜…。自分の仕事終わったからってすぐコーヒー飲み行くし…で何でそんな嬉しそうなの？」
無口な樹は、あまり感情を表に出すこともない
だからこそ、樹がこうやってニヤニヤしてるのが珍しいと思ったのが最初
樹「何か、一人で頑張ってる女の子見つけた」
海「隣？」
樹「そう」
海「樹が女の子とか気にすんの珍しっ！
声かけてくりゃいいじゃん」
樹「いや…」
海「何よ？」
からかってやろうと思えば、急に真面目な顔をする
樹「なんか、多分俺あの子の事好き…かも
だから、頑張ってる所邪魔したくない」
ほのかに耳が赤くなったのを、俺は見逃さなかった
思えば、樹はAちゃんに一目惚れしたんだろうな
それから、名前も知らない隣の部署のその子とすれ違う度、樹は言葉にはしなかったけど
どことなく嬉しそうな顔をしてた
…Aちゃんに好きな人がいるって分かった日、仕事での小さなミスも多かったしな〜
＿＿＿＿＿＿＿＿
海「ってな訳。本人の口から好きって聞いたの、後にも先にもその一回だけだけど…」
海青さんから聞いたその話は
海「樹がAちゃんを思う気持ちが変わってない事、近くに居た俺が保証してあげる」
藤原樹に会いたいと思わせる、大切な過去だった
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りい(プロフ) - とても良かったです！！！ (2021年10月11日 2時) (
レス) @page50 id: 23552ed598 (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - 美憂さん» 読了、コメントありがとうございます！素敵だと言っていただけるいっちゃんが書けて良かったです(^^) (2021年3月15日 1時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
美憂(プロフ) - 最高な作品でしたー。いっちゃん素敵！ (2021年3月13日 22時) (レス) id: 35846edb09 (このIDを非表示/違反報告)
まいぽん(プロフ) - 蘭さん» ありがとうございます！ぜひ読ませていただきます！！ (2020年3月10日 23時) (レス) id: 0b1b1da15f (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - まいぽんさん» 返事が遅くなってしまってすみません涙 今度また藤原樹君のお話を書かせて頂いた時には、まいぽんさんをもっと虜に出来る様に頑張りますね(^^) (2020年3月10日 18時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘭
| 作成日時：2019年1月7日 20時
