episode 24:信用 ページ26
その後近くの林で私達は野宿をした。私は皆が眠っている間見張りをしていたが、彼女は一度も現れなかった。
翌朝カルデアから四字熟語の書かれたTシャツ、日本の通貨など物資が色々届いた。
「…ドクター、もう少しマシな服なかったの?」
“それしかなかったんだよう!でもほら、立香くんやオロチ以外は外人顔だろ?観光客ってことでいいんじゃないかな〜”
「後で調達に行きましょう先輩」
そうは言うが槍兵や騎士王は満更でもない様子でぱっぱと着替えを済ませていた。
次に情報の整理。
今の段階で分かっているのは、敵はオロチオルタ(仮)、彼女の目的は理想通り組み換えた渋谷を正常な歴史として確立させること、そのためには私オロチが必要であること。
「それとこれは推測ですが、オルタの核には聖杯が使われています。半分だけにしては私と魔力量に差がある」
“それは確実だろう。こちらで計測したところ、オロチの本来の魔力量を計算しても上回る程の量があると判明した”
「そうなると、敵はまだ本気ではないということか」
今後の為にも私の蛇について話しておこう。出会った時とは違う、彼らは十分信頼に足るだ。
「私の蛇、八岐大蛇は基本私達の影からしか現れません。しかし私達の影が他の人や物の影と繋がるとそこからも出すことが出来ます。昨夜明かりをつけてもらったのは足元からの奇襲を防ぐためです」
「つまり日が落ち、全てのものの影が繋がる夜は危険ということか」
「はい。そしてもう1つ、蛇は目が弱点です。目を潰せば暫く現れません。数は8匹まで。全て潰すのは厳しいですが、半数も減れば向こうも引き上げるでしょう」
説明をする私を槍兵がまじまじと見ている。不明な点があったかと問うと彼は言った。
「いや、初めは自分の手の内云々言っていた奴がこうもあっさり弱点まで明かすとはな」
「そっそんなことぶり返さないで下さい!今はそんなこと言っている場合ではないでしょう!貴方達を信用して話したんですから!」
急に恥ずかしくなってそっぽを向く。過去のことを指摘されるのは恥ずかしくて仕方ない。
「とにかく、まずは探索と食料などの調達に行きましょう。さあ行きましょう。今すぐ行きましょう」
何とか恥ずかしさを誤魔化そうと柄にもなく先陣切って林を抜けたのだった。
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作者名:巳月 要 | 作成日時:2017年12月25日 22時