君の声しか聞こえない 2 ページ2
｢おはよ！ごめん、遅くなった！」
「翔くんおはよ」
「翔ちゃんおはよーございます」
「翔ちゃんおっはよー！遅かったね？」
それぞれが挨拶していく。
「実は、道が渋滞しちゃって…」
「でも、遅刻ではないから平気だよ！」
「そうだよな…危なかったぁ〜」
翔ちゃんが相葉さんと楽しそうに話してる間も大野さんは気付かない。
「ん？あれ？智くんどうしたの？」
翔ちゃんが智さんの方へテコテコ近づいて行く。
「あ、翔ちゃん今のリーダーに話しかけても無駄だよ。だって…」
誰が話しかけても聞こえないから。そう言おうとする前に声が被さる。
「おっ！翔くんおはよぉ〜」
びっくりした。あんだけ誰が声掛けても気付かなかったのに、翔ちゃんの声には反応したから…。俺と相葉さんと潤くんで目を合わせる。多分3人とも同じ表情してると思う。
「おはよ！智くん何書いてんの！？」
「お、翔くんにだけは見せちゃる。こっちおいで？」
「うん！ありがとう！」
そう言って、大野さんは自分の隣をぽすぽす叩いて、翔ちゃんに隣に座るよう言った。翔ちゃんは嬉しそうに大野さんの隣に座る。
「これね、最近新しく描き始めたんだけど…」
「これまだ途中！？うわっ、すっげぇな…」
楽しそうに話をする2人に唖然としてると
「俺たちの声は聞こえないのに翔ちゃんの声だけは聞こえるんだね…」
少し寂しそうに、相葉さんが呟いた。潤くんも「そうだね。」ってぼそりと呟いた。
「やっぱりあの2人って特別なんだろうねお互い…。そこに俺らが入る隙間ってないのかな…」
「ね…ちょっと寂しいよね…」
確かに、昔からあの2人はお互いのこと知り尽くしてて、お互いがお互いの事特別に思ってた。俺ら3人は少し寂しかったことも多々あった。そんな2人は俺らの事なんて目もくれず、至近距離で会話してる。
「あっ！そういえば翔くん。写真撮ってきたよ！」
「え！？ほんと！わざわざごめんね！」
「ほら、見せてあげるからもっとこっち来て？」
そう言って大野さんは今でも近いのに、翔ちゃんの肩を抱き寄せて、振り向いたらキス出来るくらいの距離まで顔を近づけていた。翔ちゃんもそんなの気にせず、すっぽりと大野さんの元に収まって、キラキラの瞳で携帯を覗き込んでいる。
俺はそんな2人を見てられなくて…「ちょっとトイレ行ってくる」って言って、楽屋を飛び出した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 160人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：奏海 | 作成日時：2020年5月2日 1時
