brothers #1 ページ10
結局、岩本はカフェの二階の一番端の小さな部屋を借りて生活する事となった。
棚や机などの家具類は全くなかったが、荷物が元々少なかった岩本にとっては問題ない。ベッドもなかったが、埃を被った来客用の布団ならあったのでそれを使わせてもらう事になった。
dt「ごめんね汚いのしかなくて……勘弁してくれないかな」
iw「泊めてもらえるだけでありがたいんだ、文句なんて言わねえよ」
dt「悪いね……あと、」
床に座り込んで荷物の整理をしながら、宮舘が壁の一点を見つめて話をした。そちらからは微かに声が聞こえていた。
dt「隣の部屋……あの二人だからうるさいかもしれない」
iw「あ……ラウールと目黒、だっけ」
dt「そう」
何を話しているかははっきり聞き取れないものの、ラウールらしき声が楽しそうに弾んでいるのは分かる。
iw「あの二人……兄弟みたいだよな」
dt「兄弟だよ」
iw「え、」
宮舘がさらっと放った言葉に岩本は思わず驚きの声を漏らした。
確かに同じ能力を持ってはいるし、兄弟みたいに仲が良い。チームワークも抜群だった。しかし正直に言えば、顔立ちは似ているとは思えない。
dt「腹違い……っていうのかな、母親は同じだけど父親が違う」
iw「だからあんまり顔は似てないのか」
dt「そう、似てるのは身長と能力だけ」
そう言う宮舘の顔はに憂いを帯びた笑みが。
dt「最初は可愛がられてたらしいけどね、親は「異端」だって知った途端にあいつらをこの街に捨てたんだって」
iw「……そういう事か、」
捨てられた二人をいつの日か拾ったのが宮舘、だから彼等はここに住んでいる。岩本はそう理解した。
dt「俺達があいつらを拾うまでずっと二人きりで生きてたんだよ。どれだけ酷い目に遭っても、小さい頃からずっと……二人ぼっちで」
iw「……そんな、」
dt「特にめめは、お兄ちゃんだから、ってラウールを必死に守って生きてきた。何よりもラウールを優先して、自分がどれだけ傷ついてもラウールだけは守って……まあ、それは今でも変わってないけど」
宮舘の言葉で岩本は納得した。先の戦いでラウールを先に逃がしたのも、ラウールに手を出した事に対して目黒が過剰に反応したのも腑に落ちた。
間違っても彼に何かあっては困る。弟は必ず守らなければいけない。
そんな兄としての使命を、目黒は必死で果たそうとしていたのだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 882人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
怜(プロフ) - 如月ﾖｼﾉ。さん» わーありがとうございます! 直しました! これからももし見つけたら遠慮せずに教えてください……! ありがとうございました! (2020年11月8日 11時) (
レス) id: f87dad8c17 (このIDを非表示/違反報告)
如月ﾖｼﾉ。(プロフ) - 岩本"が"「狩猟豹」なのは＿。 が 岩本"か"「狩猟豹」なのは＿。になってますよ！細かいところですみません。 (2020年11月8日 0時) (レス) id: 3bc10946d5 (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - 如月ﾖｼﾉ。さん» いつもコメントありがとうございます! 更新頻度がだいぶ遅くなるとは思いますが、何卒お付き合いよろしくお願いします! (2020年10月24日 11時) (レス) id: 4e2a0ba139 (このIDを非表示/違反報告)
如月ﾖｼﾉ。(プロフ) - 新しい作品楽しみにしてました！更新応援してます！ (2020年10月23日 0時) (レス) id: 3bc10946d5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：怜
| 作成日時：2020年10月22日 23時
