encount #1 ページ30
阿部はのんびりと辺りを見回しながら歩いていた。
何処を見ても趣味の悪い建物が並び、耳を澄まさずとも物騒な声が聞こえてくる。妙に変な臭いもする。
つくづく治安が悪い街だ、阿部はそう思いながら岩本がいるはずのカフェを目指していた。
すると、目の前の曲がり角から一人の男が飛び出してきた。目に包帯を巻いた変わった風貌の彼は、一瞬立ち止まって左右を見る仕草をすると、阿部に気づいたらしい。
「あの!」
面倒な事に巻き込まれる気がしながらも、阿部はとりあえず立ち止まった。
「すいませ……」
ab「……え」
駆け寄って来た彼は阿部の元へ辿り着く前に突然転んだ。
違う、転んだように倒れたのだ。彼は肩を上下させるだけで立ち上がろうとしない。
それに気づいた阿部は彼に駆け寄った。目の前で倒れられたら流石に見て見ぬふりは出来ない。
ab「大丈夫ですか……?」
なんとか彼の体を起こすと、腕の中で彼は弱々しく頷いた。意識はある。なら大丈夫だろうか。
しかし念のため何処かで休ませた方がいい。岩本を呼びに行くのはその後でもいい。ここで彼を見捨てるのは流石に薄情だ。
ab「どっか休める所……」
「っ……大丈夫、です」
ab「そうは見えません」
阿部は周りを見回して店先に置いてあるベンチを見つけると、なんとかして彼をそこまで連れていった。
sk「すいません……ありがとうございます」
ab「いえ、」
座ってしばらくすると彼はだいぶ落ち着いてきたらしい。
普通に話せる所まで回復すると、彼は佐久間大介と名乗った。名乗られたので阿部も倣って自己紹介をした。すると、歳が近そうだから阿部ちゃんでいい? と笑顔で聞かれ、流れで阿部は了承した。実際彼等は一つしか歳が変わらなかった。
ついでに敬語もなくした頃、阿部は素朴な疑問をぶつけようとした。
ab「……ねえ」
sk「ん?」
ab「聞いていいのかわかんないんだけど、」
sk「目は見えてないよ」
佐久間が阿部の質問を先回りしたので、阿部は口を開いたまま固まってしまった。
それを悟った佐久間は面白そうに笑う。
sk「当たってたんだ、俺の答え」
ab「なんでわかったの」
sk「聞かれる事なんてそれくらいしかないもん。それで次に聞かれるのは、どうして周りの事がわかるのって」
聞かずとも阿部にはその答えが想像出来た。
sk「俺、「異端」でさ＿＿「海豚」なんだ」
そして佐久間は阿部の予想通りの答えを口にした。
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怜(プロフ) - 如月ﾖｼﾉ。さん» わーありがとうございます! 直しました! これからももし見つけたら遠慮せずに教えてください……! ありがとうございました! (2020年11月8日 11時) (
レス) id: f87dad8c17 (このIDを非表示/違反報告)
如月ﾖｼﾉ。(プロフ) - 岩本"が"「狩猟豹」なのは＿。 が 岩本"か"「狩猟豹」なのは＿。になってますよ！細かいところですみません。 (2020年11月8日 0時) (レス) id: 3bc10946d5 (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - 如月ﾖｼﾉ。さん» いつもコメントありがとうございます! 更新頻度がだいぶ遅くなるとは思いますが、何卒お付き合いよろしくお願いします! (2020年10月24日 11時) (レス) id: 4e2a0ba139 (このIDを非表示/違反報告)
如月ﾖｼﾉ。(プロフ) - 新しい作品楽しみにしてました！更新応援してます！ (2020年10月23日 0時) (レス) id: 3bc10946d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怜
| 作成日時：2020年10月22日 23時
