監視対象は純黒の悪夢を見る【名探偵コナン】

70.探し物 ページ36

園内の電気が復旧した後、蘭ちゃん達に約束を破ってしまったことを謝った私は安室さんを探していた。

事件もあり、避難誘導もあって人はかなり少なかったので分かりやすい容姿をしている彼はすぐ見つかり、私は駆け寄る。
彼はどこか1点を見つめているようだった。

「安室さーん！」

「水瀬さん、怪我はもう大丈夫ですか？」

え、何で“安室透”のモードに？と思っていると近くの木陰に赤井さんがいるのが見えた。
赤井さんに公安と私が関係あることを隠したいから“安室透”を演じているのか、と納得する。

いっそもう言っちゃえばいいのに。
国は違えど同じ警察でしょ？赤井さんと何回か会ってるし、あんまりそれ意味なくねって言ったら怒られるかな、怒られるよねやめとこう。

「怪我は大丈夫です」

「僕といたときはまだ無傷でしたよね？それに髪も濡れていますよ」

「それはキュラソーを助けるときに色々あって……。それより、安室さんと別れたときスマホをどっかに落としちゃったみたいで、持ってたりします？」

私の質問に、思い出したようにあぁと呟いた安室さんはポケットから黒いケースのスマホを取り出した。私のスマホだ。

「確かこれでしたよね？拾ったはいいのですが、あの騒動でかなり画面が割れてしまって」

彼からスマホを受け取り、確認すると彼の言う通り画面は沢山の亀裂が入っていた。電源をつけると一応使えそうではある。

「でもとにかく貴方が無事で良かったです」

スマホがきちんと操作できるか確認しているとホッとしたような声が安室さんから聞こえた。人並みに心配はしてくれるようだ。

「ま、まぁ、私はこんなところで死にませんよ」

“安室透”のモードだからかポアロにいるときのように優しいので、ここだと何だか変な感じ。

うーん、むず痒い。でもまぁ優しい方がいっか。

「それに私にはまだ沢山やることが残って……」

「やること？」

安室さんが小首を傾げた。ハッとして口を止める。深く追求されると答えられないのに勢いで喋ってしまった。

「えぇ、っと」

オリジナル(・・・・・)、あの言葉が頭の中で付きまとって離れないからつい。今は忘れたいのに。

「……っとにかく、スマホありがとうございました！失礼します！」

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