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血腥い戦場に一筋の狐が翔ける。 ページ21

「ここか。」


一人ぼそりと呟いた言葉は血の大地に堕ちた。

あまり時間が無いので彼女は鎌を引き摺って戦争を見詰める。

この国はよく分からなかった。

戦争を無くす為、と言って戦争をしている。

では戦争はいつ終わるのか。

其れを考えるとこの美しい戦場は消えてしまう。

血の臭いが無ければ彼女は戦場が好きだった。

刃物と刃物、銃声と人の断末魔が轟く。

血の臭いが嫌いな彼女は血の赤が好きだった。

自分の手で見る血ではなく、人の手で見る血。

戦場では其れが見放題だ。

彼女は愉悦の笑みを浮かべた。

しかし真っ黒のマスクで覆われた口元は誰にも見られる事無く

視界から消えた。


「…」


その姿はまるで白狐。

戦場を廻り、飛び跳ねて、血で汚れる。

悦に浸る彼女は我に帰る。

そして鎌で敵兵を薙いだ。

血が飛び散る。

白狐の如く敵兵を殺めていたアストが尻餅をついて彼女を見上げる。


「"死神"…?」


彼女が嫌う名を彼女が愛しく想う者が呼んだ。

無表情な彼女は目をとある者に向けた。


「お久しぶりです、蒼空音さん。」

「あは、5年前の亡霊さんが何してるの?」


蒼空音は剣を弄ぶ。

彼女の視線は真っ直ぐだった。


「蒼空音さん、悪いですがこの戦争…我々が終わらせにきました。」

「組織にとって面倒だからな。」

「クラウン君も…?終わらすって、どういう…?」


蒼空音は驚愕した。

あんなにも居た敵兵が一人も立っていなかったのだ。

赤い地面に伏していた。


「我が組織の最終目標は世界統一、無駄な小競り合いで仕事を増やさないで下さい。」

「面白いね…!ただ、世界はもう終わるんだ、世界統一なんで止めようよ。」

「世界が終わる?…ああ、綺菜孤さんがそんな事を言っていた。」

「でも関係ねぇよな。」

「そう、我々は最期まであの方に従うと決めていますから。」

「蒼空音、俺等は間違っていない、お前等が間違ってたんだよ。」

「そんな冗談、信じないよ…」


依然話についていけないアストは黙って其れを聞いていた。

聞いてはいけない気がしたが気になってしまって仕方が無い。

世界統一、世界が終わる、あの方。

軍警師団はどこまで知っていて、

彼らはどこまで知っているんだろう、と

アストは血腥い戦場を呆然と見ていた。

血の大地に堕ちるものとは?→←綻んだホットミルクと蜂蜜が落ちる。



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龍巳@キチガイ - 一部名前を変えている方もいらっしゃいます、コメント欄で名前を晒すのも止めて下さい。中傷、無断転載も同様です。ルールを守って下さいね。 (2016年10月7日 22時) (レス) id: 3d3a9ea8a1 (このIDを非表示/違反報告)
龍巳@キチガイ - 感想はこちらのコメント欄にてお願いします、TwitterのIDを載せたりするのは絶対にやめて下さい、評価は星とTwitterのふぁぼでお願いします。 (2016年10月7日 22時) (レス) id: 3d3a9ea8a1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:龍巳@キチガイ | 作者ホームページ:ホームページの追加は禁じます。  
作成日時:2016年10月6日 22時

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