第507Q 罠 ページ7
「流星のダンクはその見た目と破壊力とは裏腹に極めて繊細な技だ。跳ぶ時の位置、高さ、角度、跳んだ後の体勢、ボールコントロール…全てが噛み合わなければ成功しない。
特に跳ぶ位置…ゴールとの距離は成功率に大きく関わる。
ボールとリングの大きさを考えると通せる角度は針の穴ほど…一歩分遠くなるだけでたちまちその穴はと閉じる。ならば僕はその一歩、一歩分お前をずらすだけでいい。」
要はドライブが膨らんだのだ。火神は赤司のカットを躱す速さを生み出すために1歩目の踏み込みが早くなったのだ。
その分トマライブが外に膨らみ、ほんの僅かにゴールまでの距離が遠くなったのだ。
「けど、そっから跳ぶまでにさらに何歩かあるだろ…そこで調節できねーのかよ？」
試合を見に行きていた霧崎第一のメンバーたち。
この赤司への対策がないのか賢い花宮に尋ねたのだ。
「できるわけねーだろ、ただのジャンパーやレイアップならとまかく。助走の速さを最大限跳躍の高さに変換しようとすれば歩幅を変える余力なんてねぇよ。」
「さらに、あのダンクはDFとある程度距離がないと使えない。さっきは5番の実渕と8番の根武谷のヘルプが遅れた絶好の状況…けどそれすら罠なのよ。」
花宮の言葉にさらに付け加えたのは同じく"無冠の五将"の枝川。
「…派手な仕掛けを使わず、最初の一手で詰ませる。
こんなの人間業じゃないわよ。
仮に他の人間が天帝の眼を持ってもここまで使いこなすことはできない…まぁ真みたいに賢い人間なら違うのかもしれないけど。
赤司は天帝の眼を持つから無敵なんかじゃない、赤司が天帝の眼を持つから無敵なのよ。」
洛山の反撃も決して生ぬるいものではなくあっという間に2ゴール差まで詰まってくる。
「(くそぉオレのミスだ…熱くなってまんまと罠にかかっちまった…
あの場面流星のダンク以外にも選択肢はあったはずなのに…)」
この負の流れを生み出してしまったことに責任を感じる火神だが焦りは雑念を生み出しプレイを雑にする。
ボールを持った赤司の前に
立ち塞がったのは他でもない火神であった。
赤司の様子に紫原はその意図を気づいていた。
「赤ちんにしては…珍しく一気にカタつけにきたね。」
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作者名：ざわわ | 作成日時：2019年2月27日 0時
