第517Q 影と天帝の出会い ページ17
「ラノベ？」
「ライト小説、知らないのか？」
「面白いんですか？」
「普通の小説ほど重くなくて気楽に読める。
好き嫌いはあるが好きならば面白い。」
そう告げた黛に対し赤司はフッと軽く笑った。
「…お前表紙でもうバカにしたろ。」
「いえ…熟知り合いに似ていると思ったので」
「そういやさっきも言ってたな…どんな奴？」
「幻の6人目、そう呼ばれていました。」
噂とされていた彼の存在。
みたことない人物からしたら寝の葉もない伝えられた話。
赤司という彼から出たその言葉は真実以外に何ものでもない。
「帝光中の…ただの噂じゃなかったのか…
そいつとオレが似てる？」
「えぇ、そしてここからが本題。
黛千尋、あなたに新しい幻の6人目になって欲しい。」
「……な？」
「あなたと彼はそっくりな資質を持っている。
練習を見せてもらいましたが、その能力も彼と同じかそれ以上です。
僕が同じ技術を伝授してさらに退部届を取り消して
一軍推薦もしましょう。どうですか？」
赤司からの提案に黛は数秒考え出した答えは…
「断る。」
決して悪くはない誘いなのにも関わらず予想外の答えに赤司は一瞬驚いたような表情を見せた。
「お前からどう見えてるのか知らないがオレは自分が大好きなんだ。噂が本当だとするならば幻の6人目はパス回しに特化した選手と聞いている。
パスだけなんてつまらない、そこまでして試合に出たいとも思わない。
そんな専門型にならなければ通用しないならしなくてもいい。結局オレはそれまでだってだけのことさ。
自分が気持ちよくなけりゃバスケなんてやる意味はない。」
その言葉の直後赤司の雰囲気が一変する。
口角を上げ面白そうに笑い出す。
「面白い…元から全く同じ型など求めていない。
尚更気に入った、お前ならテツヤを超える幻の選手になれる。」
そんな経緯を経て今、黛千尋はこのコートに立つ。
誠凛は夢にも思わなかった、今まで幾度となく自分たちを救ってきた変幻自在のパス、
よもやそれが自分たちに牙を剥くとは。
「ナイスパァス！！」と勢いよく黛の背中を押したのは根武谷だった。
「(ったくゲンキンな野郎だ。
オレがレギュラーになった途端手のひら返しやがって…まぁ別にお前らのためにやってるわけじゃない。
パスも通ればオレが気持ちがいい。
ちゃんといいトコいれば回してやるよ。)」
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作者名：ざわわ | 作成日時：2019年2月27日 0時
