後、少し。【おそ松さん】

… ページ9

思っていたより私の体は儚く脆かったようだ



　



「A、

薬はちゃんと飲んでたダスか？」



　



昼間の事で気になったので仕事の休憩時間にラボへ立ち寄ってみた



　



『やだなぁ、デカパン。

ちゃんと飲んでたよー』



　



「嘘ダス。」



　



…やっぱりばれてたか

デカパンには申し訳なかったけど薬は全部捨てた


だって、もうすぐ消えるんだから必要ないでしょ？



変に生き延びたって私に残るものは＿＿



　



「A？

聞いてるダスか？」



　



『わっ、ごめん聞いてなかった

それで？

薬を飲んだら私の病気、治るんでしょ？』



　



デカパンははぁ、と溜め息をついた


そして



　



「Aは相変わらず嘘が下手ダスね」



　



と、笑った。



　



『な、何の事？』



　



「Aが診察書勝手に見たのも前から気づいてたダス

そうダス、Aの命は後、少しダス。


今隠してる事全部言うダス」



　



デカパンは私の目を見て言った

本気、だ。


私の為に、ありがとう。

だけどごめんね。


　


下手くそでも私はまだ



　



『…残された時間で

皆と思い出のある所に行きたかったから

お金、ずっと稼いでた…。』



　



嘘をつき続ける



　



「…そうダスか。

気持ちはよく分かるダス

だけど、今のままじゃ命がもたないダス

今すぐ、仕事を止めるダス」



　



『っ、けど！もうちょっとなんだよ！！

もうちょっとで全部終わるから！

それだけはどうか、お願い！！

他はどうなってもいいからっ、！！』



　



本当に


後、少し。


デカパンはフワリと微笑んだ



　



「…そういうと思ったダス

だから、ちょっとでも長生きできる薬作っといたダス

その代わり、…」



　



・仕事以外は安静にしておくこと

・薬はちゃんと飲むこと


そして、＿＿



　



　



　



　



　



私は

皆が

『いつも嬉しそうに』

楽しそうに

してくれてたら

もう、

それだけで

充分なんだよ。

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