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″もしも″の二 ページ2

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提灯に明かりを入れて腰に差した。
馬乗りの方法だ。
両手が空くので便利だし、転んだ時に手を使えた方が安心だし、私はだいたいこうしてる。
まぁ、あまり行儀はよろしく無いけれども…
どうせ誰も見ていないのだから。
セーフだと思う。

さて、と。
扉を全体重をかけて開ける。
蔵だから仕方ないのだけれども、重い。
確かに私の筋力不足は否めない。
けれどもう少し…

なんて考えてながらどうにかこうにか扉を開けると。

「わぁ…」

今日も綺麗な星空です。

「あれが琴座のベガ、ワシ座のアルタイル、はくちょう座のデネブ!」

煌々と瞬く3つの星。
多分日本に住むものなら九割の人間が知っているだろう夏の大三角形。
笑われるかもしれないけれど、狭い部屋で生活する私にはその3つの星を見ただけで「宇宙は広いなぁ」と言う感慨に事欠かと無い。

ずっと星を見ていてもいいのだけれど、裏山で友達になった動物達にも会いに行きたい。
名残惜しいけど、行きますか。

けもの道に足を踏み入れると、色々な気配がこちらを向くのがわかる。
最初は攻撃的だったその気配も、今では何となく受け入れてくれているような気がする。
そんな些細な事が結構嬉しい。

やがて、少し息が上がるくらい歩くと開けた小さな場所に出る。
そこが私の休憩ポイント。
倒れた木に腰掛けるとフクロウがよってきてくれたり、狐がよってきてくれたり。
一番驚いたのはイノシシが突進してきたことかなぁ。
もちろん今ではそんなこと無く仲良く暮らせているけど。
…どうしたんだろう?
いつもは腰掛けたのを待ってたかのように直ぐに来てくれるのに。
いくら夜は涼しいからと言っても流石に熱かった?
ううん。違う。
熱帯夜の日、もっと暑かった日もある。

ガサガサと葉っぱの揺れる音。
見てみると顔を出したのは狐。

「おお!来たね、狐。今日は皆なかなか来ないから心配…」

クイクイと着物の袖を口で引かれた。
どういう事だろう。着いてこい、でいいのかな?
頭を撫でて立ち上がる。
もしかしたら怪我した子が居るのかもしれない。




先導するようにゆっくりと歩き出したその尻尾を、
見失わないように私は歩き出した。

″もしも″の三→←″もしも″の一



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設定タグ:銀魂 , , 吉田松陽   
作品ジャンル:アニメ
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レイレイン - 素敵な話ですね。とても感動しました。ありがとうございます。 (2021年4月19日 20時) (レス) id: 5a04a92c31 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:沖田レイア | 作成日時:2019年4月1日 16時

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