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汗が地図にポタリと垂れた。
「よぉ」
「ああ、銀時か。なんか用か?」
軍議用の部屋でここいら一体の地図と睨めっこしていると、白髪頭をふわふわ揺らした男が何時もの気の抜けたよーな顔で入ってくる。
「ん」
「あ?」
ずいっと渡された黒い鞘の、柄のない刀。
一体なんなんだと困惑していると、まあ一回抜いてみなって、と言われる。
仕方なく静かに鞘から引き抜くと、銀色に輝く、かなりいい刀。
波紋はしずかに波打ち、切っ先は太く。
「ほぉ、いい刀だな。なんだ、戦利品か?良かったな。こいつならお前の無茶な戦い方にもついていけるんじゃねぇか?」
刀身をさやに戻して、返そうとずいっと突き出すも、銀時は受け取らない。
なんだ?俺に目利きをして欲しかったんじゃねぇのか?
「……それ、やるよ」
「……は?」
くれる、というのか。
名剣名刀のように美しい訳では無いが、かなり実用性の面で素晴らしい刀だと言うのに。
さらにこの男は怪力なので、刀脆すぎとかなんとかいつも嘆いているのだ。
さっきも言った通りこの刀ならこのバカの無茶な戦い方にも耐えられるかもしれない。
「とにかく、それはお前のだから」
「ちょ、おい銀時!」
スタスタと歩いて行ってしまった銀時の背中と自分の手の中の刀を交互に見つめる。
なんのつもりなんだあの野郎は。
蝉が、廃寺の松の木で命いっぱいに鳴いていた。
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沖田レイア(プロフ) - まめさん» まめ様!ありがとうございます!今日はみんなで晋助様のお誕生日をお祝いしましょう! (2020年8月10日 17時) (レス) id: b13dceedcd (このIDを非表示/違反報告)
まめ(プロフ) - 凄く高杉さんへの愛を感じました。。 泣きました。とても良い作品をありがとうございます! (2020年8月10日 11時) (レス) id: 857664c7be (このIDを非表示/違反報告)
沖田レイア(プロフ) - Sakura様……!なんと早いコメント……!ありがとうございます!すごく嬉しいです! (2020年8月10日 0時) (レス) id: b13dceedcd (このIDを非表示/違反報告)
Sakura(プロフ) - めちゃめちゃ感動しました…!!!!!素晴らしい作品をありがとうございますッッ (2020年8月10日 0時) (レス) id: 321ab1938b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沖田レイア | 作成日時:2020年8月10日 0時