三十二匹 ページ32
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「全くもう!なんなのあの子は!」
「あはははは……」
空になった猪口にお酒を注ぐと、それは直ぐに煽られまた底を覗かせる。
おうのさんってお酒強かったっけ?
悪酔いする前に止めておかなきゃ。
「しん様はよく興が乗らないって部屋に帰されるけど!寄りによってあんな小娘と〜!」
「ま、まあまあ……一応おのぶさんも妾の一人な訳ですし……」
「くーやーしーいー!」
だ、ダメだこりゃ。
落ち着かせるにはお酒飲ませて潰しかねぇぞ。
まあ、別にここは私の部屋だから眠ってしまっても直ぐに布団に転がせるけど。
「Aちゃんは悔しくないの!?」
「や、別に……」
確かにおのぶさんが怒っていた理由が『私が正妻』だからって言うのは驚いたけど。
なんとなくそう言うのに興味無さそうだったし。
というか、そもそもおうのさんにも嫉妬したこと無いし……
「私は鬼兵隊の一員としてお役に立ててたらそれで充分ですよ」
「無欲すぎ!それでもしん様のお嫁さん!?」
いや私は恋愛結婚じゃ無いし……
「でも驚きました。おのぶさんが晋助様のこと好きだったなんて」
「しん様程の魅力だし、惚れるのもわかるけど『晋助様は昨夜私と居たの。もう貴方の物じゃ無いから』よ?腹立つ!あの小娘ェ〜!!」
バンバンと机を叩いて悔しがるおうのさんに苦笑しながらまたお猪口に注ぐ。
昔は大好きだったけど、今はすっぱり酒はやめた。
「まあまあ、どうせ晋助様は遊んでるだけですよ。私達を焚き付けて、やきもきしてるのを楽しんでるんです」
ちょうど、私達がやられたみたいに。
「身に覚えがありすぎて笑えないわ〜……本当にしん様は悪趣味なんだから……」
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coma7672(プロフ) - すいません!前のコメント間違えて送信してしまいました、、お話最高すぎます!更新楽しみにしています!! (2020年4月7日 23時) (レス) id: 46f7afe943 (このIDを非表示/違反報告)
coma7672(プロフ) - 高杉晋助 (2020年4月7日 23時) (レス) id: 46f7afe943 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沖田レイア | 作成日時:2020年1月12日 19時