二十三匹 ページ23
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私はおうのさんへふわりと微笑む。
おうのさんが驚いた様に
「あなた、そんな顔を出来たのね」
と言った。
全く失礼な。
「いつもそうやって笑ってなさいよ、Aさん。そっちの方が可愛いわ」
「楽しければ笑いますよ」
確かに、晋助様と、引いてはおうのさんと会う時はなかなか仏頂面になりがちになってしまう。
別にそれは彼が嫌いなわけでなく。
むしろ無関心を貫く為の道具だ。
だってあんな人、うっかりそばに居ただけで惚れてしまいそうになる。
それは一時の熱のようなもので。
だからこそ人を夢中にさせるのだ。
私は、確かに彼に人生を賭けた。
しかしそれは恋人としてでは無い。
また子ちゃんや万斉くん。武市さんのように戦友として賭けたのだ。
その事に悔いはない。
これから、彼に惚れる予定もない。
キィとドアが開いて第零連隊が入ってくる。
「そろそろお暇しましょうか」
「そうね」
死体を運んだり、血を拭いている部下達を横目に、戸口へ向かう。
後ろからおうのさんがゆっくり着いてきた。
「……ああ、そうそう」
私はゆっくり振り返る。
「バットニュースですよ、おうのさん」
「何よ?」
バットニュースという響に眉を顰める美しいかんばせ。
「晋助様、新たに女性を囲むそうですよ」
「は、はあぁ?」
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coma7672(プロフ) - すいません!前のコメント間違えて送信してしまいました、、お話最高すぎます!更新楽しみにしています!! (2020年4月7日 23時) (レス) id: 46f7afe943 (このIDを非表示/違反報告)
coma7672(プロフ) - 高杉晋助 (2020年4月7日 23時) (レス) id: 46f7afe943 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沖田レイア | 作成日時:2020年1月12日 19時