二匹 ページ2
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「あ、また子ちゃんは親子丼定食にしたんだ」
「はいっス!A様はオムライスっスか?」
「うん。唐突にケチャップが食べたくなって」
と、お盆を持ちながら席へ向かう。
その時、隊士と肩がぶつかった。
ガチャ!と食器は揺れたが、中身は無事。
お味噌汁もこぼれることはなく。
「危なっ……!ふぅ……ごめんなさいね」
「……チッ」
こっちの世界に来てから、私は殺気というものを知った。
「……また子ちゃん。落ち着いて」
「落ち着けないっス!今すぐ撃ち殺してやる!」
だから分かる。
瞳孔をかっぴらき、喉をうならせているこの子が放っているのは、怒気じゃなくて、殺気だと。
「時間の無駄よ。せっかくのご飯が冷めちゃうわ」
「でもっ!」
「そ、れ、に。今の行為を晋助様に言えば彼は首が飛ぶでしょう?それを恐れず私に舌打ちするなんて……。その無謀さ、戦場で使うべきよ。今殺すのは勿体ないわ」
私はニッコリと笑うと、机にお盆を置いた。
また子ちゃんは向かい合った席に座るとため息をひとつ。
「A様が敵じゃなくて良かったっス……」
「ふふふ、“百舌鳥“の名前は伊達じゃないわよ」
ひたすらに残酷で。
ひたすらに美しく囀る。
そんな、悲しい鳥の。
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coma7672(プロフ) - すいません!前のコメント間違えて送信してしまいました、、お話最高すぎます!更新楽しみにしています!! (2020年4月7日 23時) (レス) id: 46f7afe943 (このIDを非表示/違反報告)
coma7672(プロフ) - 高杉晋助 (2020年4月7日 23時) (レス) id: 46f7afe943 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沖田レイア | 作成日時:2020年1月12日 19時