宵三十六 ページ36
__パリンッ
「え、え?」
入れ替えるつもりだった花瓶を、思わず落としてしまった。
それほど、胡蝶しのぶは唖然としていた。
「いま、貴方なんて言ったの」
あの人の鎹鴉に問う。
「Aト胡蝶カナエ!上弦ノ弐ト戦ッテル!」
涙を流しながら羽をばたつかせる鴉。
「何スルッ!離セッ!!」
Aの鴉を掴み、刀と治療道具を持ってしのぶは蝶屋敷を飛び出した。
「場所、教えて」
「報告スル!離セッ!」
「いいからッ!!早く言ってッ!!!」
剣幕な表情で迫られ、明は場所を教えた。
そこは、血の匂いが充満していて、所々に刀の斬り跡が残っていた。何より、空気が異常にひんやりとしていて。
日は、走っているうちに昇っていた。
「姉さん、姉さんッ!」
血の匂いを辿る。
「しの……ぶ……」
微かに聞こえた。私を呼ぶその声が。
「姉さん!!生きてる!!」
重症だけれど、ちゃんと生きている。よかった、よかったと、勢いよく抱きつくしのぶ。
「わた……し……り、A……ちゃ……」
カナエが途切れ途切れで言う。上手く聞き取れないけど、あの人がどうしたのだろうか。
「Aちゃん……死んじゃうッ」
「え?どういうこと?」
何を言っているの?あの人が?そんなわけないじゃない。だって、
「あの人、無傷だよ?ほら見て姉さん」
背中を向けて、置物のように立ってる。そこに傷らしきものは見当たらない。
下手したら、かすり傷すら……って、ちょっと何も言わず立ち去らないでよ。いや、この人喋らないんだっけ。
「Aさん」
しのぶは、帰ろうとするAの名を呼ぶ。
「姉さんを守ってくれて、ありが」
__ポタッ
「……え?……血?」
それは、Aの体から滴り落ちていた。
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息抜き(プロフ) - カカさん» コメントやお星様までありがとうございます、頑張りますね(*_ _) (2020年1月14日 1時) (レス) id: 1ca44e1fd0 (このIDを非表示/違反報告)
カカ(プロフ) - 主人公の周りのキャラの優しさが滲み出ててすごいよきです、、、。見る度にお星様を押してしまいます。更新の方無理をなさらずに頑張ってください! (2020年1月14日 0時) (レス) id: c193d50bb9 (このIDを非表示/違反報告)
息抜き(プロフ) - ばぐさん» コメントありがとうございます。私もコメントが来る度に飛んで喜んでます。頑張りますね<(_ _)> (2020年1月8日 18時) (レス) id: 1ca44e1fd0 (このIDを非表示/違反報告)
ばぐ(プロフ) - とても面白くて通知が来る度 飛んで喜んでいます!これからも頑張ってください! (2020年1月8日 18時) (レス) id: c64457db9e (このIDを非表示/違反報告)
息抜き(プロフ) - 無気力人間Aさん» コメントありがとうございます。更新頑張ります<(_ _)> (2020年1月7日 19時) (レス) id: 1ca44e1fd0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:息抜き | 作成日時:2019年12月2日 1時