Ich liebe dich 【王室教師ハイネリヒト】 (ページ10)

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★8話★ 美しい青年ページ10

それから、従業員さんは、私に制服のことやロッカーのこと等優しく教えてくれた。

いい人が多いなぁ…と思う。
ほんと優しい。

その後も、見学している私の元へやって来て話しかけてくれる。

やっていけそうな気がする。

…あとの問題は、教育係さんだ。
どんな人なのだろう？

少し不安だ。

従業員さんから聞いた情報によると、本名はリヒャルトといい、愛称として、リッチと呼ばれているらしい。

仕事態度は基本的には真面目だが、少しお調子者な所がある。

…それから、可愛い女の子が好き、らしい。

…チャラい系か…。

…チャラい人は嫌いだ。女でも男でも。
…苦い思い出があるから。

とはいえ、実際に会ってもいない人なのに早々に情報だけで決めつけるのはよくない。

そんなことを考えて、頭をブンブンと振る。

今は仕事の見学中だ。余計なことは考えない！

とりあえず見て得られる知識は逃さないようにしよう、としっかり見学した。

そんな感じで、午前中は過ぎ、いよいよ午後となった。

カランカランとカフェの扉が開く。

入ってきたのは、2人の人物。

その1人に目を…奪われた。

目が釘付けになる。

入ってきたのは、黄金の長く美しい髪をひとつに括り、眼鏡をかけた美しい青年。

金糸と言って差し支えない髪。

白い肌。

眼鏡の奥の蒼い宝石。

そして、それを縁取る長い睫毛。

居るだけで華になるような人、それが彼の第一印象だった。

「あれが、リッチだ」

オーナーさんがやって来て教えてくれる。

こんな綺麗な人が自分の教育係なのか…。

なんて思っていると、オーナーさんは、その金髪の青年に「おーい、リッチ！」と呼びかけ、呼び寄せる。

「オーナー、何ー？」

リッチさんはそう言い、近づいてくる。

発せられたのは少し低めで甘さを含んだような声。

…声もかっこいいんだ。

「此奴、今日からここで働くことになったAだ。お前に教育係を任せるから、宜しくしてやってくれ」

とオーナーさんが説明する。

「…Aです、よろしくお願いします」

「俺は、リヒャルト。リッチって呼ばれてるから好きに呼んでくれていいよ。よろしく」

「では、リッチさんと呼ばせて頂きますね。よろしくお願いします」

頭を下げる。