Ich liebe dich 【王室教師ハイネリヒト】 (ページ3)

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☆1話☆ 忘れられぬ思い出ページ3

俺は小さい頃、病弱だった。

俺は五男だし、王位継承権も一番遠いからかな、父さんは、見舞いになんてただの一度も来なかった。

もちろん、父さんは、国王で、忙しいのも知っている。

でも、やっぱり寂しかったんだ＿

そんなある日、

一人の少女に出会った。

「あっ…落としちゃった！」

その少女と、会ったのは、王宮の廊下だった。

たくさんの紙をかかえて、お父さんかなと思う男の人後ろをヨタヨタと歩いていたけれど、

身より何倍も量のある紙なんて持てるはずも無く、バサバサッと、その紙を落としたんだ。

慌てた様子で一生懸命拾うその子を放っておけなくて、

「はい…これも…」

足元にひらりと飛んできて落ちた、書類の一枚をその子に渡す。

そしたら、君は、

「Danke!」(ありがとう!)

そう嬉しそうに笑ったんだ。

初めてだった、こんなくったくのない笑顔を向けられたのは…

たしか、名前は、

「A！大丈夫か？お手伝いをしてくれるのは、ありがたいけれど、あんまり無理をするなよ！」

A…

そう、君の様子を見に来た、君のお父さんが、そう呼んでた。

「うん！大丈夫！お父さんのお手伝いできるの、嬉しいもん！」

でも、会ったのはそれっきりで…

その子の笑顔が頭からはなれなくて…

……。