★14話★ 紹介 ページ16
コーヒー豆の紹介が終わり、リッチさんと、そのコーヒー豆の倉庫…でいいのか？を出た。
コーヒー豆の種類、結構あったから、家に帰ったら復習をしておこう。
こういうのは、反復に限るのだ、うん。
復習万歳。
そんなことを思いながら手中に収まるそこそこの量になってしまったメモを見返す。
そんな私の隣を黙ったまま、先程よりも仏頂面を割増で歩くリッチさん。
折角、なかなか美形なのにそんな顔していたら勿体ないなぁ。
なんて思う。
まあ、私には関係ないけど。
二人揃って店の方へ顔を出すと、もう閉店の準備が進められていた。
机を拭いたり、看板をしまったりと忙しく動き回る店員さん達が見える。
「おー、おかえり。中々沢山あっただろ？」
帰ってきた私たちに気がついたらしいオーナーさんが声を掛けてきた。私の手にあるメモを見て苦笑している。
「はい…覚えるのに時間がかかりそうです…」
私もメモをペラペラと捲りながら苦笑する。
「まあ、ゆっくり覚えていけばいい」
と私に安心するような笑顔を見せてから、私とオーナーさんの話が終わらないのを見かねてか去っていきそうなリッチさんに、オーナーさんは声をかけた。
「あ、リッチ！」
その声にリッチさんは足を止め、
「ん？何？」
と聞く。
「ついでにあの子、紹介しとけ。多分これからも顔合わせるだろ」
オーナーさんは、リッチさんと一緒に入ってきて以来、ずっと席に座ったままの男の子？を示す。
「え、でも、片付け」
そうリッチさんが言うが、
「もう終わるから、大丈夫だ」
とオーナーさんに言われ、リッチさんは何故か渋々といった感じでその男の子のた方近づく。
そんなに私に紹介するのは嫌か、なんて思いつつもそのまま去るわけには行かず、彼の後を追い、その子の元へ行った。
明るい茶髪。大きな目。
可愛い感じの子だ。
リッチさんは、その男の子の横に立ち、
「………弟です」
と紹介した。
そうか、この子は弟さんだったのか。
あんまり、リッチさんには似ていないけれど。
その紹介された男の子は、一瞬、ムッとした顔を見せる。
が、それは気づくか気づかないかの一瞬で。
すぐに表情を笑顔に戻すと、
「……リッチお兄ちゃんの弟のハイネです。よろしくお願いします」
綺麗に礼をしてそう言った。
あまりにも綺麗な礼だったから、咄嗟に私も淑女の礼をしようとして、ハッとする。
私は、もう貴族じゃないもの。
ニコッと笑って、
「初めまして、Aです」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 50人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：マリーAI | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/novel/Marie-HP/
作成日時：2019年4月22日 19時
