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「……Aさんってイヤリングつけてたんだね」
「え? いまさら? この学校校則緩いから前からたまーにつけてたよ」
すると一松先生はぽかーんと目を見開いた。
「……ずっと顔と胸を見てたせいで、耳を見る余裕なかった」
「顔はいいとして、耳を見る余裕がなくなるくらい胸を見るな!」

一松先生はベッドに腰掛けるわたしの隣にやってきて、イヤリングに触る。
「なんでひまわり?」
「夏だから。あと、十四松先生の色だから」
隣から凄まじい殺気を感じて、恐る恐る隣に視線を遣る。
「な、なに……」
「外せ」
「え、なんで」
「いいから。外せ、今すぐ」

一松先生のこんな言葉遣いと表情初めて見た。
初めて一松先生を先生らしいと感じる。
「こ、校則違反……?」
「ううん」
闇オーラが一段と濃くなった一松先生の手のひらに、外したイヤリングを渡す。
それを白衣のポケットに仕舞い込んで、一松先生が口を開いた。
「Aさんは黄色似合わない。紫が似合う」
「はあ……」
そうかなぁ、と呟いてみれば、ぎろりと睨まれる。

「俺が言ってるんだから間違いない」
はっきり言って一松先生に美的センスがあるとも思えないけど。
「……じゃあパーカーが黄色いのも?」
「え、うん」
「脱いで」

脱がされそうになって、慌てて体を手でガードする。
「や、やだよ。焼けちゃうじゃん!」
「室内」
「寮に戻るし!」
仁義なき攻防が続いたあと、一松先生はがっくりと項垂れた。
「……せめて黄色じゃないパーカー着てきて」
「ない」
「寮に送るから、十着ぐらい」
「そんなにいらない!」


翌日。いつも通り放課後保健室に赴く。
「……ん」
一松先生に両手出して、と言われて両手を前に出せば、なにかが手の中に落ちた。
片手でそれを掴んで目の前に持ってくる。
「……! かわいい〜!」
紫の花と猫のチャームがついているイヤリングだった。
「一松せんせーが選んだのー? センスいいね」
「……たまたま。買い物してたら目に入っただけ」
一松先生が一人ファンシーショップに入っていくのを想像して、少し笑ってしまった。

「……なに」
「ううん。ありがとう、大事にするね!」
笑顔で感謝を述べれば、一松先生の反応がないことに気付き、一松先生に声を掛ける。
「……一松せんせー?」
わたしが笑ったせいか、一松先生はしばらく固まっていた。

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海柄  - この作品…神すぎます……凄いです!いつ見ても癒されるぅ〜!投稿お疲れ様ですっ!!次の投稿待ってます!ファイトっᕦ(ò_óˇ)ᕤ (2022年4月9日 8時) (レス) @page17 id: c80b266ed1 (このIDを非表示/違反報告)
MATSUNO NANA(プロフ) - もう、続きは書かれないのですか?いや、すみません。気長に待ってます。楽しみにしています! (2021年5月4日 17時) (レス) id: 288501894e (このIDを非表示/違反報告)
小森桃子(プロフ) - ZUNさんは神なのだwさん» 神だなんて……。ありがとうございます! これからも喜んでいただけるよう頑張ります (2019年6月21日 17時) (レス) id: a15aeb4942 (このIDを非表示/違反報告)
ZUNさんは神なのだw - 一松可愛いすぎでしょ!作った人…神じゃん! (2019年6月21日 17時) (レス) id: edb9ce2cd8 (このIDを非表示/違反報告)
小森桃子(プロフ) - 憂月さん» ありがとうございます!私自身も萌えてます(笑) (2019年4月26日 19時) (レス) id: a15aeb4942 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:小森桃子 | 作成日時:2019年3月26日 10時

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