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スカートのポケットに仕舞っていた、解読不可能な文字列が書かれた紙切れを一松先生に見せる。
「ほらー、これ。不気味すぎ」
「……それ俺が書いたやつ……。見つけてくれたんだ……」
一松先生の目に視線を移せば、黒目がハートに変形していた。

「……なっ、なんて書いてあるの……?」
「『好き』」
「……」
やっぱり一松先生は一松先生だったらしい。
「怯えた顔見たくて……」
一松先生ってそっちもいけるのね……、なんて思いつつ。
「ほんっと怖いから! もうしないでよ、やるなら口で言って」

一松先生に体を背けて、自分が言ったことの意味に気付きひどく後悔する。
「ふーん……、口ならいいんだ……」
「いやっ、いやいやいや、違うっ、そう言う意味じゃあなくて! ああもう、年下好き変態男ーッ!」


こんなにひどく疲れる保健室は今だかつてあっただろうか。
わたしが好きな保健室の先生との恋を取り上げたマンガの主人公は、もっと癒されていたはずなのに。
そしてあの日以来なぜか、一松先生と会う機会、正しく言えば呼び出される機会が増えた。
「Aさーん」
「Aさーん、いますー?」
「あ、Aさん」
「Aさん〜」

……と、こんな具合に。
はっきり言ってめちゃくちゃ怖い。
基本、その呼び出しは他愛のないものばかり。別にわたしじゃなくてよくない? みたいな手伝いもさせられる。
これだけなら別に怖くはないのだが、なにせ一松先生はわたしが行くとこ行くとこすべてに居るのだ。
まるでそう、わたしを見張っているかのように。

「あの……一松せんせー……。なんでわたしが行ったとこに居るんですか」
放課後、一松先生の手伝いをさせられているわたしは恐る恐る聞いてみる。
怖すぎて珍しく敬語になってるし。
「え? ずっとAさんのこと見てるから? って言うかついていってるから……?」
なぜ疑問系、なんてツッコミが出来ない。
「……仕事しろ、この怠慢教師!」
「はうっ……」

わたしはただ先生との恋がしたかっただけなんですが……。
なんで先生にストーカーされてるんでしょう?

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海柄  - この作品…神すぎます……凄いです!いつ見ても癒されるぅ〜!投稿お疲れ様ですっ!!次の投稿待ってます!ファイトっᕦ(ò_óˇ)ᕤ (2022年4月9日 8時) (レス) @page17 id: c80b266ed1 (このIDを非表示/違反報告)
MATSUNO NANA(プロフ) - もう、続きは書かれないのですか?いや、すみません。気長に待ってます。楽しみにしています! (2021年5月4日 17時) (レス) id: 288501894e (このIDを非表示/違反報告)
小森桃子(プロフ) - ZUNさんは神なのだwさん» 神だなんて……。ありがとうございます! これからも喜んでいただけるよう頑張ります (2019年6月21日 17時) (レス) id: a15aeb4942 (このIDを非表示/違反報告)
ZUNさんは神なのだw - 一松可愛いすぎでしょ!作った人…神じゃん! (2019年6月21日 17時) (レス) id: edb9ce2cd8 (このIDを非表示/違反報告)
小森桃子(プロフ) - 憂月さん» ありがとうございます!私自身も萌えてます(笑) (2019年4月26日 19時) (レス) id: a15aeb4942 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:小森桃子 | 作成日時:2019年3月26日 10時

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