好きだよ、レオくん３【佐野玲於】

爆発 ページ10

Reo side



理不尽なことって分かってる。
俺がAの立場だったら、多分俺も反対してる。
今は俺の胸の中で泣きじゃくるAを、
ただ頭を撫でて抱きしめることしかできない。

…いや、罪悪感を少しでもかき消すために
今はこれしか俺にできることなんかない。



「私…今までいっぱい我慢した…っ
女性のダンサーさんと踊るのも、嫌だし…
…玲於くんから女物の香水の匂い…するのも嫌…っ」


つっかえつっかえの言葉で、今までのAの
感情が全て爆発したように思えた。


「…だから、仕事だから。
Aが一番だし、好きなのは変わらないよ。」

「そんな…っ綺麗事聞くのももううんざりなの…っ」



初めてだった。
こんなに全ての思いを打ち明けられたのが。
こんなに涙を見せて訴えてくることが。
だからどうしたらいいかなんて、分かるはずもない。


「ホノカさんのことは…もうやめてよ…
フリでも婚約者なんて、いやだ…っ」


俺がホノカと結婚するって言ったときの
おばさんの嬉しそうな顔が、思い出される。
玲於くんありがとね、って顔しわくちゃにさせて
手を握ってくれたおばさん。
悲しませたくない、そう思った。


「……ごめん、」
　
抱きしめいた身体を離して、Aと距離を取る。
この距離が、一生縮まらないかもしれない
なんて縁起でもないことが脳裏に浮かんだ。






.










.




その後ちゃんと仕事行って、収録終わって、
その合間に携帯見て、Aかの連絡来ないかな、
って見て、ずっと落ち着かない一日。

そりゃそうだ。
全てバレてしまったんだ。

自分の罪悪感を少しでも軽減するために
Aの名前呼んで、愛してたのに。
それができなくなった今ではこうやって思い悩む
ことしかできないんだから。



「玲於ー、今日このあと空いてる？」

「…え、うん」

「飲み行こ」

「えー、隼とふたりだとお前酔ったときめんどくさいんだけど」

「じゃ、助っ人要請する」

「…だれ？」

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