好きだよ、レオくん【佐野玲於】

恋空模様 ページ10

Your side




　
________雨


地面を叩きつけるような雨が、水たまりに大きな
波紋をつくっていく。




今日はとことんついていない。

時刻は18時過ぎ。せっかく仕事が早く終わったのに
外に出てみればこの有様だ。


玲於くんは映画の撮影で、午後から他のメンバーとは
別行動。





「…ついてないなぁ」


裕太「なんやA、傘持ってないんか」




後ろから声をかけてきたのは裕太くん。
その手には黒い傘が一本、握られていた。




裕太「俺の貸したるわ」


「裕太くんはどうするの…？」


裕太「んなもん、ちょっと走ればすぐ駅着くやん」





俺はAの兄貴みたいなもんやからなぁ、なんて
私に無理やり傘を押し付ければ、裕太くんは発言通りに早足で駅へと走って行ってしまった。




「…優しすぎるよ、」ﾎﾞｿｯ




雨音ですぐにかき消された私の声は、溶けていく。


黒い傘を見ながら、どこか複雑な心境に至った。





玲於くんだったら…どうしてたかな、

相合い傘とかしてくれるのかな。





有り難く裕太くんの傘をさしながら、そんなことを
考えながら道を歩いた。

いつもこうやって…




玲於くんがここにいたら

玲於くんだったら

玲於くんがこうしていたら



________そんな、たられば話が日々募っていく。





雨空模様も

恋空模様も



しばらくは晴れなさそうです。

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