はじめまして ページ1
隣に座っている女の子
正直言えば一目惚れだった
入学式の日。
緊張して早めに来てしまったがどうやら誰かいるようだ
黒板に書かれた席順を見るとその子は隣の席らしい
窓側の一番後ろの席
この席なら心地よくいられそうだ
そう思いながら自分の席に鞄を置いた
「おはよう、学校来るの早いね」
あの子から声をかけられた
高くも低くもない声、中性的な声だった
返事をしようと顔を上げると目がぱっちりと合う
早くから来て、読書をしていたため第一印象は正直良くなかった
でも実際よく見れば綺麗な黒髪ロングに二重
マスクをしているためあまりわからないがきっと綺麗な人だろう
単純だと思われるだろうが、これが僕の恋の始まりだった
「おはよう、それってなんの本？」
少しでも印象を良くしたい、そんな思いからでた言葉はこれだ
これでは会話は続かないかもしれない
大丈夫か俺…？
「この本？別に対したものではないよ」
といい本の表紙を見せてくれた
残念ながら僕の知らない作者だった
まずいどうしよう
「この本ってどんな感じの話なの？」
「短いお話が色々書かれているんだ
短編集っていう本だね」
「そうなんだ
ところで本が好きなの？」
慎重に言葉を選びながらの会話は思ったより続いている
趣味の話に繋げる、なかなかいいんじゃないか…？
「それ色んな人に言われるけど、実はあんまり好きじゃないんだ
小説の中に行ってみたいとは思うけどね」
この調子だと好感度も上げることができるのでは…と思っていたが、僕の質問に対しての答えが斜め上のものをいっていた
本読んでるのに好きじゃないの？なんでだろ？と疑問に思っていると
「そろそろ外が賑わってきたね
君もそろそろ準備したほうがいいんじゃないかな」
「ほんとだ、準備してくるね」
時計を見ると思ったより時間は過ぎていた
こんな会話で良かったのだろうか
続く
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作者名：暇人（なりたい） | 作成日時：2020年8月2日 11時
