5. 彼氏になれない自分 ページ6
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ハナと同じクラスになって、数ヶ月がたった。
あちい、、、夏ってこんなに暑かったっけ、、、
ハナ「あ、あくちゃん、そんなスカートあおがないの!みえちゃう!!」
『見えても見んな、変態』
あっという間に、セミが鳴く季節になっている。
最初こそ、あまりいい印象をもっていなかったのだが、
ハナの人懐っこい性格のおかげか、私とハナは大の仲良しになっていた。
そして、もう一つ起こった大きな変化。それは、、
ハナ「ねーあくちゃんあくちゃん」
『なに、どした?』
ハナ「好き♡」
『はあ、なんやの』
そう、やけに好きだと言ってくるのだ。
そして隙さえあれば抱きついてきたり、膝に乗ってきたり、、、と。
周りからはカップルだと冷やかされるほどに毎日毎日、それはもう毎日。
ちなみに私はこのときはまったくもって女の子を好きになるなんていう概念はなく、
ただただ、うざったいけれど、仕方なく付き合っている、という感じだった。
思春期だったこともあって尖っていた私は当時、あらっぽい口調と男っぽい動作、
それにハナとの絡みから、「彼氏」。
もちろん、ハナは「彼女」。
いつの間にか、そう周りから呼ばれるようになっていた。
私は正直恥ずかしいという気持ちはあったのだが、不思議なことに嫌悪感は持たなかった。
一方ハナはこの状況を楽しんでいるらしく、
ハナ「あくびくん」
などと呼んで、私を擬似彼氏にしていた。
今思えばこのとき、もう私のジェンダーはバイセクシャルだとわかっていたのだが、
バイセクシャルという単語も知らない私は、自分に疑問を持ちながらも、
結局、毎日ハナにほだされる日々を送っていた。
そんな私の考えが、あるクラスメイトの一言で自分のジェンダーについて自覚することになる。
それは、なんてことない、学校での一コマ。
教室の移動で、ハナから手を繋がれて歩いているときだった。
「そうしてると、本当にカップルみたいだよね〜」
「たしかに、でも彼氏のほうがちびなのがな〜」
「そうそう!!あくびがもっと身長が高かったら完璧だよね」
ハナ「あくびくんはおチビなんだよね〜笑」
『るさい、これからのびるの!』
(そうか、身長が高くなきゃ、ハナの本当の彼氏にはなれないのか、、、)
、、、、、、、、ん?私今、ちょっと傷ついた?
もしかして、、、ハナの本当の彼氏になれない自分に、がっかりしてる、のか?
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#よにん。@変人同盟(プロフ) - 私もこんなに仲のいいお友達欲しいなぁ、、、 (2020年7月27日 22時) (レス) id: 56651a4ea9 (このIDを非表示/違反報告)
グレーなあくび(プロフ) - 翠雨_れいん@家族_一番下の子さん» おねむさんか!いまわかった!笑 (2020年7月23日 15時) (レス) id: 068b1137eb (このIDを非表示/違反報告)
翠雨_れいん@家族_一番下の子(プロフ) - グレーなあくびさん» 一応ねむです…わかるかな…? (2020年7月21日 18時) (レス) id: 1750223cc0 (このIDを非表示/違反報告)
グレーなあくび(プロフ) - 翠雨さん» 面白いと言っていただけて嬉しいです!ありがとうございます。 (2020年7月20日 23時) (レス) id: 068b1137eb (このIDを非表示/違反報告)
グレーなあくび(プロフ) - 秘密♪さん» そう言っていただけてすごく嬉しいです!理想のカップル、、、僕にはもったいないお言葉です、笑 (2020年7月20日 23時) (レス) id: 068b1137eb (このIDを非表示/違反報告)
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