三橋くんには私が欠けている。

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泣き虫な女の子にはなりたくない。泣くことが悪いなんて思ってない。だけど、泣いてしまったら。まるで助けを求めているように見えてしまうから嫌なの。

私は1人で立ち上がれるのに、勝手に手を差し伸べられても困る。だから泣かない。そんな主義みたいなものを掲げてやってきたんだけど。


今回ばっかりは、1人じゃ立ち上がれなかった。でも自分から手を貸してなんて言えなかった。そんな時に無言で手を差し伸べられたら、泣いてしまう。





「やっぱり幼なじみって好き。言わなくてもわかってくれる謎の絆ほんと好き」



「お前は昔からわかりやすいんだよ、あからさまに嫌な顔して三橋のこと話しやがって」



「それは気づかなかった」




三橋くんに覚悟して、とか言って嫌がってる彼に話しかけたりお弁当食べさせたり、一緒に帰ったり。
退院したばかりの三橋くんにストレスを与えてないかとか、これで思い出してくれんのかなとか色々と考えてたら、逆にこっちがストレスを感じてた。

いや、三橋くんの方が私より疲れてるはずなのに。




「昔からお前は溜め込みすぎて俺に八つ当たりしてたろ」



「すみません。でも智司くんがツッパリになってからは怖くてやってないよ！？それに、この前の1件で敵対関係みたいになっちゃって……気まずくて話しかけれなかったのもあるし」



「俺ら開久は三橋と伊藤とはまた喧嘩するが、お前が三橋の彼女だからって敵にするつもりはねえ。
ただ、相良がお前のこと殴って悪かったな」



「私も、相良くんのこと殴ってごめん。智司くんのことも突き飛ばしたりしてごめん」






昔から変わらず優しい智司くんに癒される。いつだって私の悩みを聞いてくれていた。
なのに、開久と軟高で対立した時、私の立場もあって彼の立場もあって少しだけ気まずくなったけど。

やっぱり離れられないのが幼なじみだなあ、と思った今日。



そして少しずつ溜め込んでいた物を無くせたお陰で、また明日から三橋くんに向き合える。





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