手前の全ては俺の物。 (ページ12)

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10話ページ12

貴「……。」

目が覚めるとまた昨日と同じ光景だった。

夢であって欲しいと願ったが虚しく終わった。

ふと背中にに何かの温もりを感じたので、
目をやると私をここに閉じ込めた男が
規則正しい寝息を立てて寝ていた。

貴「……っ！！」

吃驚して後ずさりしたが、私の腰には中原さんの腕ががっしりと回されてて身動きがとれなかった。

貴「睫毛長いんだなぁ……。」

切れ長の海色の瞳に長い睫毛

鼻筋が通った鼻

そしてこの赭色の癖がかかった髪の毛。

って、見てる場合じゃない！！

ここから逃げないと！

探偵社の人達は今頃私の捜索願を出しているはずだ。

でもここからはどうやって抜け出そう。

足についた足枷はそう簡単には外れない。

端末も中原さんに取り上げられた。

鎖は長いが玄関迄は玄関迄は届かない。

絶対絶命だと思った時だった。

中「ん……朝か。」

中原さんは寝惚けながらも
起きた。

中「おはよう。A」

貴「お……おはようございます。」

中「腹減ったろ？朝飯作ってやるよ。」

中原さんはそう言うとベッドから降り
台所へ向かった。

その時ベッドになんかの鍵が落ちた。

私は中原さんに勘づかれないようその鍵をバッと手に取った。

貴「鍵……？」

なんの鍵かは分からなかったが、
脱出する為に何か使えると思い
ポケットにしまう。

_______________

中「美味いか？」

貴「はい、美味しいです。」

中「それはよかった。俺はこれから仕事だ。帰りは遅くなるが何かあったら端末は返すから連絡してくれ。」

取り上げられたきり帰ってこないと思っていた端末

開いたら改造されたのか連絡先とカメラしか
使えなかった。

そして登録していた連絡先は全部消され
中原さんしか登録されてなかった。

中「悪いな。他の野郎や探偵社の連中の連絡先は全部消去した。でももう関わる事なんか無いんだからいいだろ？」

貴「……はい。」

中「いい子だ。俺はもう出掛けるが逃げたりすんなよ？まぁ逃げれねぇとは思うけどよ。もし逃げたら……分かってるよな？」

貴「……はい。」

中「ん。愛してるぞA」

そう言うと中原さんは愛用の帽子を被り玄関に向かった。