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後輩と先輩 ページ8

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子供じみた執着だと理解してはいるが、先輩は既に俺を構成する一部であって、簡単に誰かに渡せるような人じゃねぇんだ。



『万里?万里くーん』

「……お前、たるちとマジだったんだな」

『あー……それは、まあ。うん』


言いにくそうに視線を逸らすAに、何とも言い難い感情が湧き上がる。

恋愛感情ではない……はずだ。
ただ俺を一番に見てくれていた先輩が、他のやつを一番に据えるようになって気に食わねぇだけ。



『今言うことじゃないかもしれないけど、一応。入団おめでとう。そんでありがとな』

「何でAが礼言うんだよ」

『俺が劇団に誘ったからわざわざ入ってくれたんだろ。だから礼くらい言っとかないと』

「……あっそ」


学生時代と変わらない笑顔で笑いかけられて、それが気恥しくて顔を逸らす。

それを見たAが『お、照れた?』なんて言うから「うるせぇ」と返した。



「卒業してから連絡取りづらくなったの、たるちと同棲してたからかよ」

『至っていうか、劇団で忙しいってのが理由かな。でも今日からまた毎日顔合わせるし』

「んなのわかんねぇだろ」

『何でキレてんだよ。嫌でも顔合わせるから安心しろ』


眉間に寄った皺を目掛けて俺にデコピンを食らわす先輩の姿は花咲時代と何も変わらない。

けど確かに変わったこともあって、Aが一番目をかける存在もその一つだ。それがどうしようもなくもどかしくて、悔しいと思う。



『また赤点とったら勉強見てやろうか?』

「はっ、俺といたらたるちに怒られんだろ」

『そん時はそん時。俺の一番可愛い後輩は、今も昔も目の前で拗ねてるお前だけだし』

「……っ、ばっかじゃねぇのか」

『素直に嬉しいって言っとけ。この手のかかる後輩め』



この人の一番が変わってしまったことが、悔しいと思った。
ゲームだけじゃなく一番譲りたくないものまで負けてしまったのかと、そう思っていた。


けどAの一番の中に俺がいると言われて、柄にもなく嬉しいと感じてしまう自分がいる。

たるちと種類は違えど俺も変わらず先輩の一番だと思うと、少しだけ曇っていた心が晴れた気がした。


だからといってたるちを揶揄うのはやめねぇけどな。





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旦那と嫁→←後輩と先輩



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作者名:杏梨子 | 作成日時:2019年5月3日 10時

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