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旦那とヤクザ ページ16

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『……俺が?』

「そうだ。お前が連れて来たんだからちゃんと面倒見ろ」


夕飯の後片付けをしている途中、稽古終わりの左京がキッチンへやって来た。

難しい顔をする左京に『どうした?』と声をかければ、明日から始まる朝練のために万里を起こしてほしいとのこと。
どうして俺がと思ったのだが、続いた言葉に乾いた笑いを零した。そうだった、俺があいつスカウトしたんだった。



「あいつは生意気で俺にも反発しやがるが、お前の言うことなら聞く節があるからな」

『だから俺に…と。まあ朝食の準備もあるし、そのついでに起こすことくらい別にいいけど』

「お前は何であいつを誘った」


何で万里を劇団に誘ったのか。
あいつはなんでもこなす器用さがあって、運動神経もいい。今回のアクション公演でも役に立つだろう。

それが最初に浮かんだ理由だった。けど、



『冷めてるから……かな』

「冷めてる?」

『あいつ努力しなくてもなんとかなっちゃうようなやつだから、何に対しても冷めてるんだよ』


初めて会った時もそうだった。
何の熱意も瞳に宿さず、いつだって冷めた目をしていた。



『入学当初から手のかかる後輩でさ、お節介だけど何か熱中できるものを探してやりたかったんだ。芝居なら熱くなれるんじゃないかって思ったから誘った』


ゲーム以外脳がない廃人の至でも、千秋楽を迎えて芝居への気持ちが変わったし、きっと万里もそうなるはずだ。

それまでの道のりが長いことも重々承知している。



『だからさ、先輩として芝居の面白さ教えてやってよ。俺は熱中できるものを探してやれるだけで、その先は俺じゃダメなんだ』

「…お前は変わらないな。その考え方も、お節介さも」

『ばーか。俺はそんなできた人間じゃねえから。優しいのは身内だけ』

「んなもん何年も前から知ってる」


いつも眉間に皺が寄っている左京が、ふっと柔らかく笑った姿に驚きながらも笑みを返した。

左京が舞台に立てるように俺もサポートしないと。
まずは明日の朝、万里を起こすところから……なんて先行き不安だが、結局はなんとかなってしまうんだろう。



春と夏がそうだったように、秋もきっと。





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旦那、違和感を感じる→←旦那、ため息を吐く



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作者名:杏梨子 | 作成日時:2019年5月3日 10時

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