1冊目 ページ2
.
人工的な明かりを灯しながら揺れる電車内
口元を覆うマスクと最近切り揃えた前髪の中間地点から覗くのは、某アプリのタイムライン画面を追って忙しなくも蠢く自分の瞳。
疲弊した身体を手元のスーツケースで何とか支えてはいるものの、今朝とは違って中身は殆どすっからかんだから余り役には立たず
しかも、入っているのは友人の買い子に頼んだ推し絵師の新作と相互さんの差し入れの為ぞんざいには扱えない。
ホント唐突なんだけど自己紹介を始めようと思う、僕の名前は来栖A
この世に生を受けて27年、前世含めて48年生きてきて未だに限界ヲタク拗らせている雑食系面食い腐男子だ。
続けて、急だけど
半身浴してて不意に意識が遠退いたと思ったら赤さんなった時はビビり散らかしたよね、衝撃の死因より前に今世の両親の顔面偏差値がエベレスト過ぎて草も生えなかった。
つまりはヲタク君が大好きな転生トリップを果たしちゃったある種のショタ爺と言う訳、かといって転生特典は何もなかったし過去編ではヤンキーですらなかった唯のモブ。
唯一、接点があるとしたらメインキャラであるマイキー君と中学が同じだったぐらい
以降は特に何もなかったからヲタ活片手に放置したら、何時の間にか梵天軸になってるし……。
根暗気質の一般市民はヤのつく自営業とは最早ほど遠い存在、必然的に関わらないで済むと知った時にはお古のペンタブを破壊したくらい嬉しかったが
同時に、推しカプを壁視点で堪能出来ない事を泣きながら悟った。
大学卒業後
ファッションやコスメ関連の会社に付いた僕にとって、その上でのヲタ活は言うまでもなく有利で
たまごっち感覚で彼等を遠くから鑑賞していたら、元推し燃料に同人活動始めてて
肖像権にも配慮しつつ地道に積み重ねてたら壁サー常連にまで昇り詰めてしまっていた。
今は丁度そのコミケ帰り、今度の支部更新は武ヒナかなとか適当に見当を付けつつ数十秒前に降りた電車が横切る道を一人虚しく歩く。
先程改札で翳したスマホのケースを指先で軽く撫で、電源に触れた途端
突然マスクを外されて布状の物を口へと押し当てられた。
『ん゛ぅッ、む……。』
サンリオ集合体の付け爪で反撃を試みるも、更に首元に手を伸ばされて締め付けられる。
最後に映ったのは、もう片方の手でシィーと人差し指を唇に近付ける姿
かなりあやふやだったけれど見知った顔だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 152人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
わいｔ - いつになったら更新してくれるんですか！楽しみすぎて死ぬって！！ (7月27日 22時) (
レス) @page35 id: 258f12dfbe (このIDを非表示/違反報告)
乾燥(プロフ) - くっ...好みすぎて...ｱﾞｱﾞｱﾞｱﾞｱﾞｯ無理しない程度に毎秒更新待ってますぬ... (2023年1月1日 18時) (レス) @page35 id: c00320f8c9 (このIDを非表示/違反報告)
寝ん子(プロフ) - 莉夢#梵天の信者さん» ありがとうございます！あわわ、神がおるww貴方様の作品も本当に大好きです。 (2022年10月19日 8時) (レス) id: 9e9a5a7301 (このIDを非表示/違反報告)
寝ん子(プロフ) - 雪の兎さん» ありがとうございます！これからも更新頑張ります(*^^*) (2022年10月19日 8時) (レス) id: 9e9a5a7301 (このIDを非表示/違反報告)
莉夢#梵天の信者(プロフ) - あぁ、、、好きです、、、(*‘ω‘ *)最高。 (2022年9月24日 16時) (レス) @page19 id: 9e38cf74ca (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：寝ん子 | 作成日時：2022年9月14日 7時
