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「Aちゃん、いつも見る夢、教えてくれないけど、なんで。」


しんぺい神の言葉に、先程まで饒舌だったAの舌は、動きを止めた。
何てこともない雑談のつもりだったのに、としんぺい神は反省する。

再び男と会った日から、Aがもっと悪夢に魘されるようになった。
その原因は、過去にあるのではないか、としんぺい神は踏んでいた。

話題を変えようと、しんぺい神が口を開いたとき、Aは返答をした。

『言ってしまえば、私は生きられなくなるかもしれないので。』
相変わらず、Aはどんなに痛い毎日でも、生に執着していた。
しんぺい神に、男から貰ったナイフを、Aは見せた。

『これが私の夢のヒントです。』

しんぺい神は、黙って差し出されたナイフを、手に取った。
β国の総統と、その親族に伝わるナイフであることは、しんぺい神も知っている。

脳内に予想された、可能性をしんぺい神は、打ち消した。
それだと、Aの全てに問題が出てくる。
弱虫ではあれど、Aは決して無能なわけではない。

『そういえば、借りていた歴史書が、貸出期限を過ぎていました。戻しに行ってきますね。』
この言葉を言うのが、Aの精一杯だった。

気づかれても、優しいしんぺい神なら、何も言わないと一縷の望みを抱いて。
たった一人、愚痴をこぼす相手が、Aは欲しかった。


「いってらっしゃい。」
引き止めることもなく、しんぺい神はAを見送った。
Aの瞳が、恐怖と怒りでぐちゃぐちゃに、なっているのを、見逃さず。

そういえば、昨日の軍会議でも、Aについて、堂々巡りであったことを、しんぺい神は思い出す。
どうでもいい、という人間もいれば、興味の湧いていた人間もいた。

昨日の主題は、β国の総統が、今後どうなるかという話だった。
印象が薄すぎて、あまりしんぺい神は覚えていない。

覚えなくても、業務内容にも差し支えはないためだ。
総統の血縁者への処置も、追々決まると言っていたような、としんぺい神は思い出す。


だが、そんなことは、しんぺい神はどうでもいい。
脳内は、Aの過去一色だった。



彼女は一体何者だ?

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2(プロフ) - 蠱毒さん» 大丈夫です!わざわざありがとうございます( . .)" (4月1日 23時) (レス) id: 6ca65a7c69 (このIDを非表示/違反報告)
蠱毒(プロフ) - 2さん» ありがとうございます。そう言って、いただけて嬉しいです!こみゅーのメッセージの方にパスワードを送っても宜しいでしょうか? (4月1日 9時) (レス) id: 8cf3c0ec6d (このIDを非表示/違反報告)
2(プロフ) - 面白くて続きが凄く気になるのですがパスワードが掛かってて続きを見れません💦良かったら教えてくれませんか? (4月1日 2時) (レス) id: 6ca65a7c69 (このIDを非表示/違反報告)
くろねこ(プロフ) - とても面白かったです!続きが読みたいのですがパスワードが…教えて貰えないでしょうか、、 (1月11日 1時) (レス) @page50 id: f664205a1a (このIDを非表示/違反報告)
こがしアイス(プロフ) - インクさん» さあ、どうなるのでしょう。続編も是非、お楽しみください。 (2022年8月12日 23時) (レス) id: 8cf3c0ec6d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蠱毒 | 作者ホームページ:@kodomikodoku  
作成日時:2022年8月7日 18時

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