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後悔が胸を痛みつける ページ8

武器はないため、適当に落ちている木の棒を持って飛んできた矢を防ぐ。
防いで、防いでどうするかだ。このまま守っていてもあの日のダイヤのようにどこかが欠けることは目に見えている。
これは右足を犠牲にして、飛びあがった後
1つ、空気を吐き。1つ、空気を飲む。

右足に力を入れ、大地を踏む。

ピキ

そのまま、空高く飛びあがった、
バキ、と。右足の感覚が消える。だが計画通りに月人へは近づけた。
このままゆっくりと、殺して行こう。

木の棒を、一番端に居る月人へと思い切り振りかざす。

バキ

月人が死んだのとはまた別の嫌な音が自分の内側から耳へと入ってきた。
月人の笑みが、嘲笑っているかのようで、殺したくなる。
殺したい、強くなりたい、固くなりたい。ボルツのように、先生のように強くなりたい。

「っこの…クソ、が」

喉元から絞り出した声は、自分が思うよりも擦れていて、弱々しく。
静かな海に出来た、小さな波のようだった。

忌々しい月人と、頭から離れた俺の胴体がどんどん遠くなっていく。
落下する感覚は、どうにも怖く、どうにも寂しい。
地面に落ち、粉々になる直前。走ってくるボルツとダイヤが見えた。

安心で、笑みが漏れる。あの青緑は強い奴等に守られてるなぁと。
改めて実感した。


「寂しい」


__



「……あ。」

 頭痛が酷い、ここはどこだろう。
確か、俺は月人を殴って、それで欠けた。
 低硬度は矢を受けずとも欠けてしまうのか。
情けない、情けなさ過ぎて、自分を殺したくなりそうだ。

「クリソコラ」

 ふと、聞き慣れた声が耳元で響く。
この声は、青緑か。
顔を合わせる事すら恥ずかしい、が、ずっと恥じていても仕方がないだろう。
頭だけを動かして、声がした方を向く。

 そう、そこには青緑が居たのだ。
確かに、青緑が。

「…青緑。俺は、どれくらい寝ていたんだ。」

 上半身を起こして、青緑へそう尋ねる。

「よくわからないけど、長い日が経ったよ。もう冬が来た。」

_外はすっかり、白に染まっていた。
降り注ぐ雪の色は、あの日の光景と月人を思い出させてくる。
頭痛が更に酷くなってきた、気持ちが悪い。

「…じゃあ、青緑。その手は。」

 この手の色は合金か何かだろう。
手だけじゃなく髪型も、纏う雰囲気も変わっていた。

「はは、ちょっとヘマしちゃってさ。」

 青緑は、前とは違い俺の目をまっすぐ見ようとはしない。
後悔が、俺の心を痛めつける。

 

自分が自分ではなくなって→←風が強い日だった



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作者名: | 作成日時:2018年6月3日 20時

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