青緑 ページ3
「おーい、新入り―!」
紹介が終わった後、まだ仕事は決まっておらず暇な俺はなんとなく学校の廊下を意味もなく歩いていた。
コツ、コツ。と。ヒールが地面を叩く音しか聞こえなかった廊下にそう誰かの声が響く。
新入りと言う事は間違いなく俺を指しているのだろう。
声がした方向に振り向くと、青緑の宝石が居た。
なんだか前にも見たことがある容姿をしているような、していないような。
もどかしい感覚だ。
「なんだ、えーっと…青緑の。」
名前はもちろん知らないため、今速攻考えた呼び名で呼んでみる。
みたのだが。相手は気に入らなかったのか頬を膨らませて眉を歪ませた。
「ちがーう! 僕はフォスフォフィライトっていう名前だ新入り! これでもお前より年上だからな! 言う事聞いてもらうぞ!」
これはまた面倒くさいのに絡まれてしまったものだな。
じゃあな青緑、と。適当に、そして大雑把に会話を終わらせれば反対方向を向き速足で歩き始めた。
待てー! と呼ぶ声がするが何も聞こえないフリをして、構造がわからない学校の廊下を速足で突き進んでいく。
ハイヒールが地面を踏む音が、鳴き声にさえ聞こえてきた。
視界が風に吹かれた水面のように歪む。勉強で疲れたのだろう、それか、全くわからない場所に馴染まないストレスか何かだろうか。
「…っ…くそ、ね、み…ぃ。」
喉の奥から必死に絞り出した声を最後に耳に入れ、意識は途切れた。
_____
「__あ……?」
視界いっぱいに青緑が広がっている。
透き通っていて、綺麗で、美しい青緑が。
「あ? 起きた? もー、突然倒れたからびっくりしたよー。」
そこの声を聞いてはガバ、と一気に上半身を起こして周りを見渡す。
そこにはフォス__いや、青緑ともう一人。知らない宝石が立っていた。
白衣を纏っており、その髪は綺麗に二色に別れていて。見る者の目を引く見事な色合いだ。
「初めまして、クリソコラ。私はルチルといいます。ぜひよろしくお願いしますね。」
ニコ。そうルチルと名乗った宝石は微笑む。
優しそうな宝石だと。直感的にそう思った。
「えーっと、ああ、よろしく頼む。そこの青緑とは違って随分知的…だな。」
青緑はえー、と納得がいかなそうに叫ぶもルチルの方は嬉しそうに笑みを浮かべ、
わかりますー?!と声のトーンを上げてそう言う。
…これは前言撤回だ。知的は知的だが何かが違うな。
本能的な、直感的な。とにかく予感でそう感じた。
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作者名:兀 | 作成日時:2018年6月3日 20時