ProloguE ページ2
「もー、なんでみんな僕の可能性をわかってくれないんだぁ…!」
緒の丘。海の岸に座りながら水面を覗き込んでいる一人の宝石が居た。
髪は透き通っていて、美しい青緑をしている。
その青緑髪に太陽の光が当たって光る様子は、何かを訴えているようにも見えた。
「はー…、僕はお前みたいに明るい気分じゃないよ。」
大きく息を吐いて仰向けに砂浜に寝転がっては、飽きることなく光り続ける太陽を視界に入れては青緑の宝石は呟く。
太陽に誘われ、ゆっくりと目を閉じようとすれば。
サァ
そんな、一見軽いようで重みのある音が緒の丘に響き渡った。
次はその音に誘われ、青緑の宝石は目を大きく見開いて上半身を起こす。
「な、なんだ…?」
視界に入ったのは、綺麗な薄浅葱の宝石。
そうだ、ここは緒の丘だと。青緑の宝石は今更ながらに実感する。
うんしょと声を上げながら全身を起こして一歩一歩慎重に薄浅葱に近付いていけば、それはきちんと青緑の宝石と同じような容姿をしている事がわかった。
青緑の宝石はそれを見ると嬉しそうに口角を上げては、急いで薄浅葱の宝石に駆け寄る。
「…ああ、うん! 新しい宝石だ! 早く先生に教えなきゃ。」
そう1人ながらも叫び、青緑の宝石は地面を速足で踏みながら“先生”の元へと向かい始めた。
「____で、」
直後。
薄浅葱の宝石から発せられた、言葉とは言い難いような。そんな雑音に近い音を拾う者は誰一人としていない。
ピキ_と。無理をして音を作り上げた喉の内側がひび割れる音を拾う者だって。
誰一人として、居ないのだ。
_______
「皆に新しい仲間を紹介する。」
先生と呼ばれる人物の低く、何を考えているかわからないような。そんな声が無機質で素っ気ない場所に響き渡る。
先生の前に並んでいる様々な色をした宝石達の瞳は皆、好奇心に輝いていた。
「クリソコラという名だ、硬度は3.5。」
3.5。それを聞いた瞬間に皆驚いたかのような、以外だったかのような。
そんなような反応を示す。
先生の横に立つクリソコラは、皆の反応を見ると静かに目を皆から逸らした。
「まだ勉強から上がりたてだ、もし知らない事があったようなら優しく教えてあげるように。」
はーい!、元気のいい返事が響く。
これから始まる全く予想が出来ないような日々に、クリソコラは心を不安と期待に染めていた。
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作者名:兀 | 作成日時:2018年6月3日 20時