第１話『正真正銘の雪女』 ページ1
しんしん……
今年の冬は特に寒いようで、私、立花彩は部屋の窓から雪の降る外を見ていた。
なんて寒いんだろう。こんな日は外に出たくない。
今日は塾もなく、KZの集まりもなかった。
だから、暖かくなった部屋で勉強をしていた。
「コンコン」
「……？」
窓ガラスを叩く音がしたのだが、外は雪の世界が広がっているだけ。
部屋にはただ、ノックのような音が響いていた。
気のせいだよね……私はそう自分に言い聞かせた。
気のせい気のせい。早く復習を終わらせよう。
「ドンドン！！」
「ひっ」
先程のノックとは打って変わり、強い力で、窓を叩く音がした。
静かな部屋に、その音が響く。
まるで、開けて開けてと急かしているように……
「ドンドンドンドン！！」
「っ何、何なの！？」
怖くなって叫んだ私は、机の下に体を潜らせた。
怖い。何なの？一体……こんな吹雪の中、窓から来る人などいない筈だ。
しばらくすると、音がしなくなり、ほっとした自分がいた。
そーっと、机の下から体を這い出し服を払った。
何だったのあれは一体……怖くなったので、家族がいるリビングに足を運ぼうと部屋を出ようとした。窓を一瞬怖いながらも見て、ドアノブに手を掛けた。
その時……
__________コンコン__________
忘れるはずがない、最初に窓をノックされた時の音。
嫌な予感がした。でも、私の体は怖くて動かない。
__________コンコン__________
また、音がする。
いい加減泣きたくなってきた。
「カチャ」
窓の……鍵が開いた音だ。
________ガラガラ________
鍵が開いたのなら……その次は勿論
窓が開くに決まっている��
__________トンッ__________
冷たい空気が入って来たと同時に、何かが��地に足を着く音がした。
後ろに何かが��何かが��居るのだ。
振り返っちゃダメ。振り返っちゃダメ。
______ペタ、ペタ______
近寄って来る、もう足音で気づいていた。
裸足の音。なのに、それ��が近づいて来るごとに、寒くなっていくのは何故だろう？
怖い。誰か助けて。誰か部屋に来て。
目を瞑った。
でも、足音が聞こえる。
そして……
「ねェ……あな」
「っっきゃあああああ！！！」
「何よ、失礼だわ」
女の子の声がした。
それは、綺麗なソプラノの声。
鈴が鳴ったような美しい声だった。
「初めまして、私は雪女」
嘘だと私の願いは散った。
そこには、黒髪の美少女が笑っていたのだから。
「正真正銘の雪女よ」
いずれ、朽ちて汚れて逢えるなら
今から行くよ。貴方の魂を喰らって。
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白波心(プロフ) - S・Sさん» ありがとうございます。此方こそ貴方様のお時間を割いてまで読んで頂き有難うございました。コメントのお返事が遅くなり申し訳ございません。 (2020年4月14日 21時) (
レス) id: 4a6ed9dad0 (このIDを非表示/違反報告)
S・S - ジーンときてしまいました……すごく面白かったです！楽しい時間をありがとうございました！ (2020年4月13日 14時) (レス) id: 0df261d861 (このIDを非表示/違反報告)
白波心(プロフ) - 46さん» ありがとうございます。言葉選びは慎重に行なっていたので、褒められて嬉しいです。返信が遅くなり申し訳ございません。 (2019年11月16日 13時) (レス) id: 4a6ed9dad0 (このIDを非表示/違反報告)
46(プロフ) - めっちゃ感動しました！言葉の選び方など天才的です・・・ (2019年11月2日 12時) (レス) id: 06efcbf80c (このIDを非表示/違反報告)
風野咲夜 - 番外編も面白かったよ！ (2019年6月10日 17時) (レス) id: ef27f9c60f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白波心 | 作成日時：2019年5月25日 23時
