太陽の末裔途中まで書いた。 (ページ22)

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［、、、人手が足りない。君を休ませるわけにはいかない。］
「わかってる、わかってます。大丈夫、［だから。］

一瞬の浮遊感。
疲れ果てた頭は何も察知できずにしばらく固まって。
気付いた時には私の体は崖から遠ざかっていた。

「っちょっと、歩けます。貴方見回り中じゃ、」
［今終わりました。ちょうど3時半。］

食事を取る部下の代わりを一時務めていただけで、上司の自分にやらせるほど酷い部下を持っていないと言う彼は。
そこらの女子よりよっぽど引き締まってはいるだろうが、その分筋肉が付いていて重く、さらに疲れ果てて力の入らない体を簡単に抱えて歩く。

［僕も寝ることにする。だから君も、］

今のうちにちゃんと休んで、また僕を助けてくれ。

そう言って、私のテントへと近づいていく。
こんな言い方をされては私にはなす術がない。
テントももう目の前。
どうせもうすぐ降ろされるからと反論をやめれば、彼は迷いなく中に入った。

って、

「何してるの、カン先生に勘違いされても知らないわよ、」
［今は貴方の休息が最優先だ、マナ。］
「っ、」

マナ。
彼がビッグボスなのと同じように、私はあの作戦で、マナという名を持っていた。

神聖な、エネルギーや人とは違うものとして崇めるようなものに対しての名称を私につけたのはライアン一等兵だった。

ー〈日本人か！これが儚いってことか、なぁビッグボス！〉ー

日本人の私を儚いと言い、マナという名前をくれた。
そして、ビッグボスもそれを肯定した。

布団の上に降ろされて、靴を脱がされる。
マナ、か。

「違うのよ。」
［？］
「今の私は、マナなんかじゃない。私は、」

ヒーラー(悪役)なの。
その言葉をなんとか飲み込んで、苦笑いして。

「着替えて寝る。おやすみなさい。」
［、あぁ。］

おやすみ。

いつかのように私をひと撫でして。
そして、彼が首から何か、

「っなに、なんのつも、［お守り。僕も君が動く時間までは眠るから大丈夫です。］

韓国の、特に男子が身につける身分証明証のプレート。
暖かい笑みで、私の首にそれをかける。
この人は、一体なにを考えてるのだろう。

カン・モヨンが好きなのではないのか。
なぜ、私に、

［おやすみ。］

今度こそ、彼がテントから出ていって。
呆然としながらもなんとか着替えを済ませ、横になる。

あぁ、何も考えられない。
今は、ただ。

襲いかかる睡魔に身を任せ、胸元のプレートを握りしめて眠った。
声は、もう聞こえなかった。