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『…なんで来たの』
「え、さっき言ったじゃん行くよって」
『………それが意味がわかんないんだって』
私の部屋のローテブルの横に腰を下ろした彼は、「あっちぃー」と白いTシャツをぱたぱたさせてる。
「この部屋クーラー効いてて羨ましいわ。俺の部屋のやつこの前ぶっ壊れて、いま扇風機なの」
『………へ、へえ』
なんで他人の部屋でこんなに寛げるんだろうか。
胡座をかいて手を身体の横についたままクーラーの風が当たる場所で「涼しー」とゆるい声を上げてる彼を見て、はぁっとため息をつく。
…私なんてさっきからシャーペンを握りしめながら身動きが取れないっていうのに。
お母さんが持ってきてくれた麦茶をテーブルに置いて、私は彼の正面に座った。
正面で座って向き合うのは久しぶりの感覚で、変に緊張してしまう。
『ねぇ深澤くん、…何しに来たの』
「だからその深澤くんってのやめろって。辰哉くんって呼んでたじゃん」
『……………じゃあ、た、辰哉くん。…何しに来たの？』
そう言えば、彼はグラスを置いて垂れ下がる前髪を雑にかきわけながら、立てた膝に肘をついて私の方を見た。
くいっと緩く右に上がった口角と、細められた目。
「誰かさんにさっき久しぶりに会ったらよそよそしーくされたからこっちから行ってやろうと思って」
彼の指が伸びてきてぴんっと軽く私の額を弾いた。
びっくりして持っていたグラスに入った氷が揺れる。
『…あれは』
「あれは？」
『………人がいっぱいいたから』
明らかにあの場所で私たち二人は浮いてた。数人はこっちを見て何かをヒソヒソと話していた。
私はもともと浮いてるから別に今さら変な噂を立てられようがなんでもいいけど、彼は違う。
「だからなんなの？」
『私と幼馴染だってバレたら困るでしょ』
「は？なんで？」
私と彼がお隣同士で幼小中高と同じ学校だというのは多分だれも知らない。
だから、友達もいないしずっと勉強ばかりしてるおかしな人だと思われてる私が彼と親しく話したりなんてしたら、変に探られてしまうかもしれない。
『…こんなガリ勉と幼馴染なんて辰哉くんのキャラに合わないじゃん、邪魔になる』
彼はクラスの真ん中にいるようなタイプの人間なんだ。さっき一緒にいた友達もみんなそういう人。
明るくて、優しくて、面白くて。みんなの中心にいるような人。
そんな彼にとって、私という幼馴染の存在は邪魔だと思う。
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こゆき(プロフ) - さゆさん» コメントありがとうございます…！更新頑張ります！！ (2020年11月29日 10時) (
レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
さゆ(プロフ) - 楽しいです！更新楽しみにしてます(^^) (2020年11月26日 23時) (レス) id: 04307595de (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - (名前)ひなさん» いつもありがとうございます…！自己満の拙い作品ですが、好きだと言っていただけて本当に嬉しいです！さらに楽しんでいただけるよう、更新頑張ります…！ (2020年10月18日 0時) (レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)ひな(プロフ) - うわあ新しい作品もめちゃめちゃきゅんきゅんします…！！ほんとにこゆきさんの小説好きすぎて…毎日見てます！！しぇあはうすの住人もハニーシュガーの誘惑も楽しみにしてます＾＾ (2020年10月12日 16時) (レス) id: cc80ef896f (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - さーたんさん» コメントありがとうございます…！描写とても考えながら書いているので、そのように言っていただけてとても嬉しいです！今後もよろしくお願いします…！ (2020年10月11日 21時) (レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こゆき
| 作成日時：2020年10月5日 23時
