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「一回見たら信じるからさ、だから今日は一緒に食お」
『心配されなくてもちゃんと食べてるよ。てかもし本当に気にしてくれてるんだとしても、教室でお弁当の量みたらそれで済む話じゃ』
「あーわかった、……もう、ちゃんと言う」
私の反撃に辰哉くんがぴたりと足を止めた。
そのままくるりとこちらを向くと、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ私を捕まえた彼の瞳が真剣な色を映す。
「俺がAと食べたいから、誘ってる」
『…え、』
「Aとちょっとでも長く一緒にいたいから、口実探してんの」
彼の口から出てきた言葉に、私は思わず絶句した。
一緒にいたい？
………なんで？
身体を固めたままぱちりぱちりと瞬きを繰り返す私の顔を、辰哉くんはちょっと恥ずかしそうに頭を掻きながら覗き込む。
「………意味わかる？」
意味？今の言葉の？
『………わ、かんない、』
「ほんとに？」
わからないよ。
辰哉くんが何を考えてるのかなんて私には全くわからない。
彼の頭の中を考えることは、いまの私にとってはどんな難問を解くよりも難しいことだ。
だからその難問を、熱を帯びた頭をフル回転させて考える。
『えっと……もしかして辰哉くん、友達いないの？』
「え？」
『友達いないから私と』
「まってなんでそうなんの笑 いるよ、友達は」
だよね、うん。だって知ってる、たまに教室で深澤くんがーって言われてるのとか聞こえてきてたし。
違うクラスでも名前が上がるって、ほんとすごいなって思う。求心力っていうの？昔から、彼は人気者だ。
…そしてかく言う私もその虜だったわけだし。
「俺いま結構ストレートに言ったんだけどなぁ」
『ストレート……？』
「はは、だめかぁ。まあ今はいいや。とにかく一緒に食おーね」
その言葉に首を傾げれば、困ったように笑った彼にくいっと引っ張られた腕。
どうやら、やっぱり連れて行かれてしまうらしい。
二人で廊下を歩きながら、私は下に視線を落とす。
辰哉くんの細い指が絡まった手首。
掴まれているけどそこまでしっかりと掴まれているわけではないから、たぶんいま、この腕を思いっきり振れば逃げ出せる。
昼休みの時間は貴重だし、最近明らかに勉強時間が減ったし。集中できてないし。
ほんとうは無理矢理にでも教室に戻るべきなんだ。
それなのに。頭ではそれがわかってるのに。
彼から逃げ出せないのはどうしてだろう。
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こゆき(プロフ) - さゆさん» コメントありがとうございます…！更新頑張ります！！ (2020年11月29日 10時) (
レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
さゆ(プロフ) - 楽しいです！更新楽しみにしてます(^^) (2020年11月26日 23時) (レス) id: 04307595de (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - (名前)ひなさん» いつもありがとうございます…！自己満の拙い作品ですが、好きだと言っていただけて本当に嬉しいです！さらに楽しんでいただけるよう、更新頑張ります…！ (2020年10月18日 0時) (レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)ひな(プロフ) - うわあ新しい作品もめちゃめちゃきゅんきゅんします…！！ほんとにこゆきさんの小説好きすぎて…毎日見てます！！しぇあはうすの住人もハニーシュガーの誘惑も楽しみにしてます＾＾ (2020年10月12日 16時) (レス) id: cc80ef896f (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - さーたんさん» コメントありがとうございます…！描写とても考えながら書いているので、そのように言っていただけてとても嬉しいです！今後もよろしくお願いします…！ (2020年10月11日 21時) (レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こゆき
| 作成日時：2020年10月5日 23時
