輝く空は知っている

2・ママの機嫌。 ページ3

家に入ると、ママがリビングで夕食を作っていた。

「今日の夕食って、何？」

二階の部屋に鞄を置き、一階へ下りると奈子がママ

に質問しているところだった。

ん。匂いからして、カレーじゃない？

「今日はね、奈子の好きなカレーよ。」

「やった！」

「よかったね、奈子。」

そう言いながら、カレーで喜べる奈子が羨ましいと

思った。

私は、カレーじゃ素直に喜ぶことができない。

これってやっぱり、可愛くないのかな。

今の私は、成績のことでしか喜べない。

そんな私が、バカみたいに思える。

椅子に座りながら、そんなことを考えた。

「ただいま。」

えっ？

パパ！？

もう帰ってきたの？

いつもより、早いね。

ってことは…

「あら、お帰りなさい。」

ママは、私にも言ってるのと同じ言葉を言ってるけ

ど、機嫌が全然違う。

もちろん、いい方に。

「夕食、作り直さなくちゃ。ボソッ」

んん？

今、作り直さなくちゃっていってたよね。

はぁ。

ママってば、あからさますぎるよ。

夫婦仲がいいのはいいことだと思うけど、こうもあ

からさまだときずつくなぁ。

ママの機嫌は、いつもパパとお兄ちゃんだから。

しょうがないのかなって思うようにしてる。

ママは私の秘密のこと、知らない。

もし、知ってたら態度を変えると思う。

だって、特別な力だから。

誰でも、持ってるものじゃない。

大切な、力。

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片山 悠飛

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