第７章 ページ49
智サイド
翔：『もしもしっ、智にぃ？潤は？大丈夫だった？あ、大丈夫でも病院に連れきてね、俺迎えに行くから！っていうか大丈夫なわけないや！待ってて！』
ぷつんと電話は切れた。僕一言も喋ってないんだけど…
潤：「さと、にぃ…ゲホッ、ゴホッゴホッ。寒ぃ…しんどい…」
安心したのか、やっと弱音を吐いてくれるようになった。
智：「あ、寒い？毛布持ってくるから、待っててね。もうすぐ翔来てくれるからね。」
僕はそう言うと、一番近い和の部屋から毛布を持って来て、ついでに救急箱から体温計も。
智：「あ、潤、ちょっと熱はかろっか。ちょっとごめんね。」
僕は潤に毛布をかけると、体温計をとってそっと脇に挟む。
しばらくたって体温計がなった。
智「３９度８もある…辛いね、潤。」
すごい高熱のせいで、潤はずっとうなされてた。
しばらくすると、ドタドタと翔が玄関から上がって来た。
翔：「智にぃ！潤は？」
智：「すごい高熱で…さっき測ったらもう４０度近くあってさ。早く車のせよう。」
僕たちは一緒に潤の熱い体を持ち上げて、車まで運んだ。
翔：「なんかただの風邪じゃなさそうだね…」
やっぱり、翔も僕とおんなじ考え。
智：「僕、医者じゃないからわかんないけど、翔だったらわかるかな…？なんか、息が苦しくて、胸が痛くて、動悸もするって潤が言ってた。」
翔の顔はどんどん険しくなっていった。
翔：「っ…多分、この症状は肺炎だよ。ずっと我慢してたんだろうな。それなのに、俺気づけなくて…和のことで頭がいっぱいでさ…情けねぇ。」
僕は翔のせいじゃないって言ってやりたかったけど、言葉だけで翔の後悔が消えるわけがない。
そのまま俺たちは静かに潤を病院まで運んだ。
そして、検査した結果やっぱり肺炎。２週間は入院しないといけなくなった潤。
潤が我慢してること、僕がもっと先に気付いてたら、潤はこんな辛い思いしなくてよかったのかな？
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作者名：花凛 | 作成日時：2019年5月9日 15時
