体調不良に要注意！気象系 (ページ28)

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第５章ページ28

集中しろ、雅紀！

自分にそう言い聞かせ、俺は走り続ける。

ボールを足で柔らかくトラップして、ゴール前にクロスをあげる。

後半３９分。後残り１分しかないのに、まだ０対０だ。

決めなきゃ。

絶対決めなきゃいけないんだ。

これがラストチャンス。

でも、なんでだろう、こんな大事な時に、

突然キスのことを思い出す。

キス。

唇。

あの暖かさ。

全部思い出す。

カアっと顔が赤くなり、やっぱり集中力が途切れる。

コ：「雅紀、走れ！」

コーチの必死の指導に俺は目を覚ます。

そうだ。今は点を入れなきゃ。

ゴール前を見ると、チームメートがシュートしている。だめだ！

あのコースじゃゴールキーパーに弾かれる…

こぼれ球をなんとか俺が取らないと、ゴールが決まらないまま試合は終わってしまう。

俺は、無我夢中に走るけど、ちょっと立ち止まったせいで、俺は出遅れてしまった。

もうボールが弾かれて、このままだとデイフェンスにクリアされるだけだ。

へデイングでいかないと間に合わない。

俺は必死になってボールへダイブする。

ボールは見事に俺の頭に命中。

ザパァっとボールがネットを叩きつける音が聞こえる。

ボールがネットに入った音。

審判の笛の音。

全てが勝利の音だ。

でも、俺の目の前にはゴールポスト。

ぶつかるっ！

そう思ったときには、もう遅かった。ガキっと鈍い音がして、激しい痛みが頭に走る。

『雅紀！』

周りからはぼやけた悲鳴が聞こえる。

そして全てが真っ暗になった。