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「勇さん、合同訓練行ってないでしょ」
「げっ、何故バレた?!」
任務はないが、基地に集まるのはいつものこと。
勇さんとは同じ学校に通ってはいるけど、学校で話すのも気が引けるから、こうして隊室の前で待ち伏せていた。
「この前奈良坂から聞いてね。行ってきなさい」
「…でもオレ今日…」
「行け。理佐に言うぞ」
「ハイ」
恐るべし理佐の力。
トボトボと歩く勇さんの後ろをそっと付いて行き、ちゃんと狙撃の訓練場まで辿り着いたかどうかを見守った。
…よし、入ったな。
勇さんが訓練場に入ったのを確認して、再び踵を返す。
今日はこれからどうしようか。
隊室内に篭って自主練するのもいいし、ブースに行って皆の対戦を観るのもいい。
「どうしよっかな〜」
「何ほざいてやがる」
「あ、カゲ先輩」
曲がり角のところでまさかの遭遇をする。
影浦先輩だ。
「どこ行くんですか?」
「ランク戦のブースだ。鋼に言われた」
「おー、対戦ですね?ついて行ってもいいですか?」
「…勝手にしろ」
スタスタ先を歩くカゲ先輩に続き、ブースへと足を動かす。
ちょうど良かった。この二人が対戦するのは見ものだし、ちゃっかり混ざって戦うのもアリだ。
タイミングの良い出会いに感謝する。
しばらく歩いてブースに着いた。が、まだ鋼さんは到着していないのか、それらしき人はいない。
「チッ」
そして横にいるカゲ先輩は明らかに不機嫌である。
大方サイドエフェクトのせいだろう。自分に向けられる他人の感情が刺さる感覚がするらしい。
よく分からないけどサイドエフェクト持ちは大変そうだ。
「ハァ…来なきゃよかった」
「座りましょうか」
頭をガシガシ掻き回す先輩を落ち着かせて椅子に座らせる。
「おっせェなアイツ」
「連絡すればいいのでは?」
画面に表示されるC級の対戦を眺めながら、カゲ先輩に提案をした。
言われた先輩はスマホを取り出して鋼さんに連絡を入れ始めた。
うーむ。やはりレイガストを使う人は中々いないな…
そろそろ弟子を持ってもいいんじゃない?と迅さんに言われたので、時々こうして観にきてはいるが…
「(今日も収穫なしと)」
「オイそこの2人」
「「?!」」
「俺になんか用か?」
いきなり誰に話しかけたかと思えば、カゲ先輩は頭をくるりと反対側に向けて、見知らぬ男子二人に突っかかっていた。
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ろいど(プロフ) - 一気読みしました!!更新待ってます! (2022年2月25日 16時) (レス) id: 5682104901 (このIDを非表示/違反報告)
本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好き(プロフ) - 続き楽しみに待っています!!!! (2021年12月15日 0時) (レス) @page36 id: 6f7b9e6ac6 (このIDを非表示/違反報告)
白昼夢(プロフ) - 続編ありがとうございます!この作品大好きで、更新されるのいつも楽しみに待ってるので頑張って下さい!!応援してます! (2021年2月16日 22時) (レス) id: e0fa08789a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無名 | 作成日時:2021年2月16日 21時