Gittering World (ページ13)

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『では台本合わせを終了します、お疲れ様でした！』

プロデューサーさんが締めくくる。

キャストさんたちも挨拶しながら慌ただしく部屋を出て行った。
ふと隣を見れば、平野さんもいない。
みんな忙しいんだな…

私は特に何もないからゆっくり用意をする。
『catch News!』は週末の番組だしね。

用意をしながら、自分が喉が乾いていたことを思い出した。
ここから家までそこそこ距離があるし、水買って帰った方がいいな。

そう思って立ち上がると、

「水沢さん」

声が降ってきた。

目の前にいたのは帰ったと思っていた平野さん。

私に何の用事だろう。

「あの、水どうぞ」

そう言って手渡されたのは水のペットボトルだった。
まさか、

「…わざわざ買ってきてくださったんですか？」

平野さんは頷く。

「そうです、水沢さん俺が声かけたせいで水飲めなかったし喉乾いてるだろうなって」

やることが紳士だな、
見かけだけじゃなく本当に優しい人なんだ。

「ありがとうございます、」

受け取ると、彼は笑って頷いた。

「いいですよ、それより俺たちって同い年ですよね？」

そうなの？

「私23ですけど、平野さんもですか？」

頷いたところを見ると、確かに同い年らしい。
その割に経歴の華やかさに差がありすぎんかね、

「年も同じだし、友達になりましょうよ！」

…ともだち…

「タメで話しましょ？」

思わず気が遠くなる。
私が平野紫耀とタメ口。そんな世界線あるのか。

でも断れないし、特に断る理由もないし。

「…分かった、タメだね」

そのうち敬語に戻ってそうだけど。