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ざぁっ、と草木が風に揺れる。
窓がみしりと音を立てる。
カラカラと、バケツかなにかが転がる音がする。
外は大荒れ。
いわゆる台風である。
そう、台風であるからして。
『社長のご意向により、本日の業務は全面中止。無闇に外へ出ないように。特に太宰』との連絡が国木田さんから入り。
会社がお休みになった。
この小説始まって以来のお休みである。(メメタァ)
思えば乱歩さんと過ごさない日なんて無いに等しかった。今日は久々に静かにゆっくり過ごせそうだ。
今日は何をしようか。久々に部屋の掃除かな。なんなら模様替えなんてしちゃっても…。いやいや、それはお昼からにしちゃって、もう少しだけ睡眠をー…。
そう思い布団に潜り込むと、何かが脚に当たった。「むぁ」と何かの声がする。
………。
いやいや、仮にも名探偵の助手。私も馬鹿ではない。
読者の皆様方もそうであろう。声の主だって分かってしまっているはずだ。
なので。
わざわざ起こして何故だのなんだのと無粋な質問はせず、静かに事を荒立てず、ゆっくり距離を取ることにする。起こしちゃうとまた面倒だからね。うん。
音を立てないようにゆっくり布団から出ようと身体を起こすと、先程声が聞こえた方に強い力でぐっと引っ張られた。突然の出来事に頭が回らず、されるがままに布団に倒れ込む。私は声の主に抱きすくめられるように拘束された。
貴「…あの」
「…むにゃ」
貴「乱歩さん」
乱「Zzz…」
貴「乱歩さん、この体勢はまずくないですか」
乱「つまり犯人はこの木綿を凶器に…Zzz」
私をぎゅっとしている社の先輩が夢の中で華麗に推理を披露していることを察し、抵抗を全て諦めることにした。今起こすと多分寝起きが最悪だ。しかしながら、ちょっと胸のドキドキが半端じゃない。昭和みたいな言い回しだけれども、距離が距離だけに、乱歩さんにも伝わってしまいそうだ。
貴「乱歩さん」
乱「むぁ…A〜…」
貴「!…はい…?」
乱「すぅ…」
貴「……」
くそ、空振りだったみたいだ。
期待してしまった分フルスイングの期待だった。
しかし隣では天使のような寝顔でむにゃむにゃ言いながらすやすや眠る乱歩さん。空振り全力フルスイングの恥ずかしさも吹き飛ぶというものである。
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麗(プロフ) - 5ページ 太宰さんに乱歩さんに 乱歩さんを ではないでしょうか? (2021年3月28日 22時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 3ページ 丈が眺めの 眺め ではないと思います、、 (2021年3月28日 22時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
飛花落葉(プロフ) - みずさん» 嬉しいです!ありがとうございます! (2018年8月13日 19時) (レス) id: 3b14457373 (このIDを非表示/違反報告)
みず(プロフ) - 乱歩さんに萌えました。あなたとあなたの作品が好きです心から。 (2018年8月9日 6時) (レス) id: 40c42479fe (このIDを非表示/違反報告)
飛花落葉(プロフ) - 通りすがりの変人さん» 嬉しいです!頑張ります!読んで頂きありがとうございます〜! (2018年5月27日 5時) (レス) id: a4f8881ef2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:飛花落葉 | 作成日時:2018年3月21日 15時