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私は立ち上がり、乱歩さんの部屋の中を闊歩し始めた。
しかしただ歩いている訳では無い。彼がいつも着ているスーツ、帽子、ワイシャツ、靴下…そして机の上に大事に置かれている眼鏡と、最後に布団と、乱歩さんの寝間着。
それぞれ少し特別な力を込めながら、ひとつずつ触れていく。
貴「…『13番目の魔女』」
私が呟いた瞬間に、先程触った物たちが一斉に乱歩さん目掛けて飛び出した。
そして瞬く間に乱歩さんの身なりが整い、布団も綺麗に畳まれて押し入れの中に飛んでいってしまった。
乱「いやぁ助かるねぇ、毎日ご苦労!」
貴「うぐ…誰のせいだと…」
飄々と顔を洗いに洗面所に向かった乱歩さんを恨めしげに見送りながら、今日も負けてしまったことを理解する。
私が異能を使って無理矢理乱歩さんの準備を完了させるか、乱歩さんが自分から起きるか。
この勝負を毎日行っているが、未だに一度も勝てていない。やはり相手は先輩。しかもあの頭脳である。私の異能を逆に利用して楽をしている。誠に遺憾だ。
乱「しっかし便利な異能だね、自分のために使えばい良いのに」
貴「…私の異能は制御が難しいんですよ…」
私の異能は『13番目の魔女』。
物に自我を与えられる能力。
もちろん、コントロールはこちらで出来るし、自我を持っていると言えど私の言う事に逆らうことは無い。
しかし、私が少しばかり有能で無いせいで、「与えた自我を完全に取り除く」ことができないことがある。
私が与えた自我は奪うことができるのだが、ごく稀に中途半端に自我が残ってしまうことがあるのだ。
その個体はこちらからのコントロールが効かない場合もあり、非常に危険だ。しかも、それが武器になりうるもの──刃物だとか、鈍器だとか、火だとか──だと、尚更。
なので個人的にはあまり使わないようにしている。無論、仲間にも頻繁に使用したくはないが、乱歩さんはまあ、例外だ。
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麗(プロフ) - 5ページ 太宰さんに乱歩さんに 乱歩さんを ではないでしょうか? (2021年3月28日 22時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 3ページ 丈が眺めの 眺め ではないと思います、、 (2021年3月28日 22時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
飛花落葉(プロフ) - みずさん» 嬉しいです!ありがとうございます! (2018年8月13日 19時) (レス) id: 3b14457373 (このIDを非表示/違反報告)
みず(プロフ) - 乱歩さんに萌えました。あなたとあなたの作品が好きです心から。 (2018年8月9日 6時) (レス) id: 40c42479fe (このIDを非表示/違反報告)
飛花落葉(プロフ) - 通りすがりの変人さん» 嬉しいです!頑張ります!読んで頂きありがとうございます〜! (2018年5月27日 5時) (レス) id: a4f8881ef2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:飛花落葉 | 作成日時:2018年3月21日 15時