2年生 初日 ページ2
地獄の1年間が終わった。
春休み中ずっとドキドキしていた。
今年はきっと、亜里沙とは別のクラスになれる。
…………はずだった。
昇降口に貼られたクラス表を見て、絶望した。
亜里沙と同じクラスだった。
それだけじゃない。亜里沙の取り巻き達も、一緒だ。
なんでこんなことになってしまったのか。
理由は簡単だ。
亜利沙の存在だ。
香乃坂亜里沙
ファミレス業から始まり、工業製品、日用品、娯楽などありとあらゆる方向で、成功した、香乃坂財閥のお嬢様。
そのつてがあれば、クラスなんて自由に操れる。
浮かれ過ぎてた。
また地獄の一年間が始まる。
きっと、3年生になっても変わらないよな。
このままだと。
「はあ、ッツ」
涙が溢れる。
本当はこんなことわかっていたのに。
「馬鹿だなあ。」
わざわざ亜里沙たちに会わないように遅刻すれすれで来たのに。
これじゃあ、ほんとに遅刻じゃない。
ポトッ、ポトッ
涙が落ちる音がする。
今日、学校サボろっかなあ。
そう思い始めていた時。
「大丈夫ですか？」
顔を上げると、そこには、美人の女の子がいた。アニメの世界から出てきたような。
「あ、2年生？」
校章を見たのだろう。
「同じ、だね。これ使って。」
そう言って女の子は、薔薇の匂いのする、ピンク色のハンカチを貸してくれた。
「返すの、次あった時でいいから、頑張って。きっと私たちすぐに会えるよ。」
ね、
そう言って彼女は去って行った。
本当に綺麗な子だった。優しかったし。
ハンカチいつ返そう。
そう思って、なんとなくハンカチを裏返す。
『鈴野杏荼』
……え、見間違えじゃないよね。
この子特待生の子だ！
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作者名：華夢蘭優雨奈 | 作成日時：2020年2月1日 15時
