優麗 ６ ページ37
中学生に上がると、女子では高い方だったAの身長をすぐに抜かした。大きくなる体。男女の差が、明確になっていった。
「あっつ〜。優斗アイス〜抹茶ね〜」
夏場なんかは、胸元の控えめな膨らみにしか目がいかなくて。勝手にドキドキして、勝手に悶々としていた。
体育の水泳の時間は、男女一緒だった。思春期真っ盛りな俺たちの話題は、もちろん一際目立つ「あの子」。
「桜ノ宮胸デカくね？」
「いや、小さい方だろ。全然目立たねーじゃん」
「ほっせーからなー。アレで巨乳だったら最高だわ」
多分、Aにもこの会話は耳に入ってたと思う。いつものように強気で返さなかったのは。きっと気にしていたから。
悔しそうに唇を噛む姿なんて、初めて見て。さりげなく、タオルで隠された胸元。心無しか、泣きそうにも見えた。
「……おい。そう言うこと、大声で話すなよ」
全く面識のない男子だったけど。気づけば声をかけていた。そいつらは、俺を睨むとどっか行ってしまった。
──「私の前では、無理なんてしないでよ」
今度は、俺が守る番だから。
その日の帰り道。ボソッと呟かれた、「ありがとう」の五文字。隣を歩くAを見て、「あれ、こんな小さかったっけ」って。途端に頼りなく見えて、すごくすごく、抱きしめたくなった。
パーティーに行くと、今度は俺がチヤホヤされるようになった。数年前避けられていたのが、嘘みたいだ。
「優斗くんって言うの？カッコイイ」
「肌真っ白なんだね、綺麗」
まぁ俺も男だし。鼻の下を伸ばしていれば、後ろからスーツの裾を引っ張られた。
「何デレデレしてんのよ。喉乾いた」
そこには、ムスッとした顔のAがいて。もしかして、嫉妬してくれてるの？とか考えて、勝手に嬉しくなった。
自分では気づかないうちに。俺はどんどん、Aに惹かれていった。
でもわかってた。中学生の頃から、一般人とお嬢様だって。Aは、将来決められた相手と結婚することも、全部。
両親もいなければ、財力だって力だってない。こんな俺が。Aと結ばれたいだなんて、飛んだおこがましい話だった。
だから。
「……ねぇ、優斗」
高校二年生。甘えた瞳と、誘うような声。どんな形でも、Aに触れれば。間違っていても、それで良いって。
「A、好きだよ」
一方的に、想いを伝えることを知ってしまった。そんな過ちを犯した、夏の夜。
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ミント(プロフ) - どのお話もとても素敵で、短編なのに引き込まれる世界観が大好きでした！おつかれさまでした！ (2019年1月14日 15時) (
レス) id: e20fb3d910 (このIDを非表示/違反報告)
おかゆちゃん(プロフ) - 私の大好きなマジョマリがまた読めるなんて感激です（ ｉ _ ｉ ）楽しみです！頑張ってください！ (2019年1月1日 2時) (レス) id: f9588c4e4d (このIDを非表示/違反報告)
真優(プロフ) - ゆうぴのお話で、ゆうぴが一個上の先輩で、主人公が後輩の関係で直接会うとあまり話せないけどラインとかだと話せるみたいな仲でクリスマスに後輩が告白する的なものが読みたいです！ (2018年12月24日 2時) (レス) id: f8f4960291 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - お忙しい中お返事ありがとうございます(TT)！わぁ、そうだったんですね…！どれも素敵なお話だったので残念で寂しいですが、お返事頂けて嬉しかったです！これからも楽しみに読ませて頂きます☆ (2018年11月22日 22時) (レス) id: 2bc4477fb2 (このIDを非表示/違反報告)
れなさん(プロフ) - りんさん» りんさんはじめまして！いつもありがとうございます(*^^*)実はDeuxの方削除してしまいました……。もし好きな作品だったら本当に申し訳ないです(；_；) (2018年11月21日 19時) (レス) id: c72a49e4f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れなさん
| 作者ホームページ：れなちゃん(@pinky_lovers98)さんをチェックしよう https://twitter.com/pinky_t17?s=...
作成日時：2018年5月25日 17時
