飛蜜 ３ ページ3
「……疲れた」
一歩外に出ると、ジメジメした暑さが体を包んだ。校庭にそびえ立つおっきな灯りには、小さな虫がたくさん集まっている。
数学の小テストの結果が悪くて、補習受けてました。参加は任意だけど、期末赤点取りたくないもん！
ちんぷんかんぷんだったけど、少しわかった。気がした。
汗で首に張り付く髪が鬱陶しい。サッカー部や野球部なんかも、とっくに帰ってしまったみたいでとても静かだ。
軽音部、と名ばかりの部活に入ってるけど。活動なんてちっともないから私は帰宅部。
校内では禁止されているウォークマンを取り出したそのとき。校門に見えた人影。慌ててバッグに押し込んだ。……うげ、先生いるの。
でもそれは、先生なんかじゃなくて。
「おつかれ」
額に汗を滲ませていた、飛貴の姿だった。暑さが一瞬で吹っ飛ぶ。同時に脳内も吹っ飛んだ。
え、え？何で？何でいるの？今日部活早く終わるんじゃ？だってもう19時だよ。
「……ぇ、どうして……」
「部活行くときに補習室いるの見えた！」
ほら、帰ろ！そんなこと言って、いつもの笑顔で歩き出す。待っててくれたの？私を？
「何時から待ってた？」
「五分前くらい」
「絶対うそ！」
車道側を歩いてると、自然と飛貴は私を歩道側にする。静かな住宅街。駅まで徒歩十分。
ドキドキする。手、触れちゃいそう。……触れたら、どうなるのかな。マンガみたいに、ギュッてしてくれるのかな。……ありえないか。
どこかでコオロギが鳴く。
「数学？」
「うん。一生仲良くなれない」
「……今度の休み、勉強会する？」
「いいの？」
「もっちろん」
「やった！ありがとう！」
……だいたいさぁ。頻繁に男の子の家行って、何も起こったことないのおかしいよね。いや！期待してるわけじゃないけど！ほんっとに！
悲しいなぁ……って。ただ単に。
トン、と不意にぶつかった手と手。もちろん繋がれるはずなくて。いつの間にか、背中こんな広くなったんだ。ダメだ、勝手に意識して、勝手に切なくなる。
油断したら。「好き」って、言っちゃいそう。
「あ、の」
「ん？」
「……待っててくれて、ありがと」
「暗い夜道、一人で歩かせちゃダメでしょ」
「じゃ、他のコもこうやって送ってるの？」
「は。まさか、ありえない」
暗闇で、わからない。お互いの顔も、耳も、真っ赤に染まってること。
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ミント(プロフ) - どのお話もとても素敵で、短編なのに引き込まれる世界観が大好きでした！おつかれさまでした！ (2019年1月14日 15時) (
レス) id: e20fb3d910 (このIDを非表示/違反報告)
おかゆちゃん(プロフ) - 私の大好きなマジョマリがまた読めるなんて感激です（ ｉ _ ｉ ）楽しみです！頑張ってください！ (2019年1月1日 2時) (レス) id: f9588c4e4d (このIDを非表示/違反報告)
真優(プロフ) - ゆうぴのお話で、ゆうぴが一個上の先輩で、主人公が後輩の関係で直接会うとあまり話せないけどラインとかだと話せるみたいな仲でクリスマスに後輩が告白する的なものが読みたいです！ (2018年12月24日 2時) (レス) id: f8f4960291 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - お忙しい中お返事ありがとうございます(TT)！わぁ、そうだったんですね…！どれも素敵なお話だったので残念で寂しいですが、お返事頂けて嬉しかったです！これからも楽しみに読ませて頂きます☆ (2018年11月22日 22時) (レス) id: 2bc4477fb2 (このIDを非表示/違反報告)
れなさん(プロフ) - りんさん» りんさんはじめまして！いつもありがとうございます(*^^*)実はDeuxの方削除してしまいました……。もし好きな作品だったら本当に申し訳ないです(；_；) (2018年11月21日 19時) (レス) id: c72a49e4f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れなさん
| 作者ホームページ：れなちゃん(@pinky_lovers98)さんをチェックしよう https://twitter.com/pinky_t17?s=...
作成日時：2018年5月25日 17時
