第30話：赤い影 ページ30
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｢Aのばか｣
｢ごめんって｣
｢許さない｣
｢……絶対に?｣
｢絶対に｣
Aはあからさまに不機嫌な表情をする死柄木の両頬を優しく包み、眉を下げたまま笑いを浮かべた。
｢困ったな〜、何したら機嫌直してくれる？｣
｢もっかいメイド服、着ろ｣
｢友保さんに没収されたよ、怖い顔しちゃってさ｣
コンプレスとスピナーから話を聞いた死柄木は青筋を浮かべAの姿を探した。
エントランス、シャワールーム、寝室にキッチン、廊下......見つけた時にはすっかり着替えを済ませ、いつものラフな私服に身を包んでいた彼女を抱え今に至る。
｢どこに行ってたのさ弔くん｣
｢……ドクターと、色々｣
その言葉の背景を悟ったAは｢君の方が私を置いていこうとしてるじゃない｣と不満の声を漏らし、死柄木の赤い瞳から目を逸らす。
｢傷、増えたな｣
｢この間の戦いでね、跡残っちゃった｣
死柄木は強引に話題を変え、誤魔化すようにAの柔らかな肌を撫でた。
｢……お前だけは、壊せないんだ｣
｢どうして？｣
｢どうしてだろうな、｣
五指が触れぬよう細心の注意を払いながら抱きしめる死柄木の表情は弱々しく、今にも消え入りそうに息を吐く。
｢分かってるよ。弔くんが……
死柄木の胸板に手を置き、
｢……ありがとね｣
｢礼とか対価は要らない、そばにいろ｣
｢うん、ずっと一緒だから｣
｢全てが終わる時も、な｣
意味深な言葉を口にしたAに動じることなく死柄木は頷いた。
2人しか居ないこの部屋には溶けるように甘く、呂色よりも深く暗い闇の愛が垣間見える。
｢……ちゅうで許してやる｣
｢え〜？今したじゃん｣
｢もっとだ｣
｢ふふ、いいよ｣
酌量の条件をあっさり呑み込んだAは嬉しそうに死柄木へキスの雨を降らせる。
｢んん……む、ぅ｣
｢ぁ、……ッふ｣
ちゅ、ちゅ、と小さく響く水音は2人の心拍数を確実に加速させた。
死柄木の肩がぴくりと揺れ、薄い瞼が震える様子をAは愛おしく目に焼き付けた。
｢Aッ、A……｣
舌を絡め吸い上げ、喉を鳴らした死柄木は切なく声を漏らしながら夢中でAの動きを倣うように追う。
｢かわいいね、弔くんっ｣
｢うる、さい……ッ｣
為すがままの2人を隔てる壁は、とうの昔に無くなっていた。
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第31話：Margarine→←第29話：アントニム・バイ・ミー
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乃愛(プロフ) - ほんとうに、すきです... (2021年10月3日 1時) (
レス) @page28 id: 78a106acd8 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ(プロフ) - もう好きです！あづまさんの小説！これからも読ませてください！ (2021年9月27日 6時) (レス) @page23 id: 30b611b787 (このIDを非表示/違反報告)
きりん(プロフ) - すごい主人公の危うさが綺麗に表現されていて好きです！(語彙力なくてすみません) (2021年9月22日 18時) (レス) @page16 id: 7259fb1aa4 (このIDを非表示/違反報告)
御堂(プロフ) - 初めまして。こういった敵連合のお話すごく好きなので嬉しいです、前作から見ていて言葉の表現とかタイトルとか凄く綺麗で読みやすいな~と思いコメントさせて頂きました…！無理せず更新頑張ってください！楽しみに待っております◎ (2021年9月18日 13時) (レス) id: 45dbeb9083 (このIDを非表示/違反報告)
落魄 - すみません、誤字がひどいですね。最後の分はあづまさんがいいならコメントしたいのですが大丈夫でしょうか？と打とうとしたものです。支離滅裂な文章ですみません。 (2021年9月18日 11時) (レス) id: 03af4fb6da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あづま | 作成日時：2021年9月18日 1時
